The Last Gift
らすとふりー・但し権利は放棄しておりませんので悪しからず
幸せの歌
今日は久々の晴天。
陽をたっぷり浴びてカラッと気持ち良く乾いた洗濯物を取り込み、鼻歌を歌いながら畳む。
「えらくご機嫌じゃねーか?」
「うん。久し振りにお天気が好くてスグに乾いたの」
「最近、雨降りばかりだったからナ」
「そうなの。小さな子供がいると、どうしても洗濯物が溜まっちゃうでしょ?乾燥機も良いけどやっぱり天の恵みには勝てないわネ」
「ママ、おひさまのニオイがするよー」
傍にいたアヤが畳んだタオルの山に顔を埋めてクンクンし始めた。
それを見たカイまで近付いてきて真似をし、クンクンする。
「マンマー、…る」
「うん、カイ君も好き?」
「…き」
それから再度顔を埋めて云った。
「パァパ、…じ」
「?カイ君、なーに?」
「カイ君ねぇ、パパとおなじニオイだって!」
アヤがそう云うとカイが嬉しそうに笑った。
あ、その笑い方、妖一にソックリ…
でも、どうして子供同士って言葉が不完全でも分かるのかしら?
「パパはねぇ、おひさまのニオイがするの」
「…の」
「ママはねぇ、いつもあまいオカシのニオイがするの」
「…の」
「へぇー…俺はてっきりコーヒーかガムの匂いかと思ったが、ママは予想通りだな」
「失礼ね!!!」
「ケケケ!」
「アヤ、りょうほうとも好きだよ?」
「…き」
「アヤちゃん、ありがとうネ。って、カイ君!?」
カイが折角畳んだ洗濯物をグシャグシャにし始めた。
新しいオモチャを手に入れた時みたいに愉しそうに崩すカイ。
「あっ!カイ君、ダメよ!!!」
「ダー!」
「…ったく、しょうがねぇなぁ…。誰に似たんだ?」
それまでソファでPCをいじっていた妖一がカイを肩車し、アヤの手を引いて云った。
「気分転換に散歩へ行ってくる」
「…ありがとう」
「ママ、何がありがとうなの?」
「…のー?」
「うふふ…内緒!」
「ヘンなのー!」
「…のー!」
「さーて…何処へ行きてぇ?」
「アヤ、こうえんへ行ってあそびたい!」
「…たい!」
嬉しくてはしゃぐ子供達。
玄関まで見送り、それから妖一に行ってらっしゃいのキスをした。
「行ってらっしゃい、車に気を付けてね!」
日々、子供達の世話に追われて大変だけれど、私は幸せをしみじみかみ締める。
そして、この幸せは以前より大きく、深く、温かく、私達をいつも包んでいてくれる。
「さてと…洗濯物、片付けたら皆のオヤツ、用意しようかナ」
アヤとカイにはミルクと麦芽クッキーを、妖一には飛び切り苦いブラックコーヒーを。
私は軽く伸びをして、再び鼻歌を歌いながら洗濯物を畳み始めた。
STACKの灰猫さんの所からかっさらってきました。
心にじんわりきますね。
灰猫さん、短い間でしたが有難うございました!!