夢(ティエリア)

□神は癒される
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「だからなんでそういう言い方する?もうちょっと包んで言えばいいだろ?」

ラファエルが怒ってる。
怒りの矛先はティエリアだ、また彼女にちょっかいを出しのだろう。

「君が無能なのを、無能以外どう表現すればいい?」

「無能…っ。ムカつく〜!苦手なだけだ!全然駄目みたいに言うなっ!」

あのティエリアに面と向かってケンカをするのはラファエルくらいだ。
ラファエルからする事はないが、ティエリアはいつもああやって彼女に絡む。

暫く言い合いを続けていたが、ラファエルが口ではティエリアに勝てないのが分かっている、そのうちティエリアの胸を軽く叩き始めた。

「もう〜アーデさんの阿呆っ意地悪!」

ラファエルはティエリアをアーデさんと呼ぶ、初対面の時のあのせいだ。

ラファエルは白い頬を紅潮させポカポカとティエリアを軽く叩く。
ティエリアはそれを実に嬉しそうに見ている。

「本当にティエリアってどSだな」

アレルヤの隣で見てた刹那がいう。

「ホントにね、ああやってしか表現出来ないんだろうね」

君に構いたい、自分を見てほしい。ただそれだけの為に。
ティエリアは胸を叩くラファエルの両手首を掴み、耳元で囁く。これは彼なりの愛情表現。

「言い返せないから暴力か?それじゃ今の世界の人間と何ら変わりがないな。そんな人間がCBに居る価値があるのか?」

「……っ、アンタねぇっ!」

ラファエルも良くないと分かっているから、言葉に詰まる。

「ティエリア、もうそれくらいで…」

アレルヤが見かねて助け船を出す、刹那はラファエルの服の裾を引っ張り、こっちに来いと促す。

ラファエルのブラック降臨だけは避けたい。なんせ大暴れして止められない。

ラファエルはティエリアの手を振りほどくと

「刹那〜ティエリアにいじめられる〜」

そういいながら小さな弟を可愛がるように抱きしめる。

ティエリアの綺麗な顔が歪む。

「駄目だ、こういう馬鹿には きちんと解らせないと同じ事を繰り返す。まぁ話して理解できないから繰り返すのだろうがな」

ラファエルは刹那を解放し、ツカツカとティエリアに歩みより

「アッタマきた―――っ!もう一回模擬戦闘付き合えっ!」

ティエリアの胸ぐらを掴み鼻息ブンブンだ。
格闘技なら多分ラファエルが勝つだろうにあえてそれを選ばないのがラファエルらしい。

そんなラファエルを見て、あのティエリアがめちゃくちゃ嬉しそうだ…、さっきの背筋が凍りそうな表情はどこへやらだ、怖い。

「仕方ない、時間のムダだが。しかし俺の貴重な時間を割くのだから戦闘で負けたら何をしてくれる?」

ティエリアの紅い目が嬉しそうに輝く。黒い…黒すぎる、何とかしないとラファエルが多分困る。

「できることならなんでもしてやるよ!覚悟しろ!」

売り言葉に買い言葉…。

「ティエリア、そんな交換条件なんかつけなくても…」

アレルヤがラファエルを庇う。

「君には関係ない、黙ってろ」

アレルヤは石化した。
駄目だ、もう止められない。








あの鈍感女、僕の目の前で他の男に抱きつくなんて許される事じゃない。
他の男に笑いかけるのも、楽しそうに話すのも。

「悪い子にはお仕置きだよ」

ティエリアはシュミレータを立ち上げ、難易度を通常より上げて設定する。インカムにラファエルから通信が入る。

「アーデさん!何この難易度、無理だろソレ」

焦ってるらしいラファエルの動揺が声に出る。
君の事はよく解るよ。
だって君の事ばかり見て、考えてる。
だから君も僕を感じて僕だけ見ていなければならない。

「楽しいだろう?コレ以外の設定では受け付けない。さぁ、始めるぞ」

僕の事を名前で呼ばないのも気に入らない。
めちゃくちゃに負かせてあげるよ、僕には敵わないって思い知らせて従わせてやる。

「貴様…、あとで覚えてやがれっ…!」

ああ、ブラック降臨だね。でも君は僕には敵わない。格闘技を選べば勝てるのにそうしない君はばか正直だ。

模擬戦闘に入る、相手を無力化すれば戦闘終了。それぞれ3機ずつ味方のMSがつく、これはシステム制御だ。しかしそれをマニュアルに変える事も出来る。当然僕はマニュアルでラファエルを迎え打つ。

でもきっと君はそんな事をしないね。

だから僕の勝ちだよ

さぁどうやって君の自由を奪ってやろうか?
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