小説(Ice)
□「イカロス」
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「――中々みんなに会えへんようなったから……」
寂しいとでも続けようとしたんだろうが、思わずおれは遮った。
「みんな、じゃなくって跡部に、だろ」
「――。」
忍足は否定しない。
うつむき加減に微笑って――それでも黙ったままだ。
「――もう止めちまえよ」
「――。」
何を、とは聞かない。
コイツにはよく分かってる筈の事だから。
おれが言ってる意味を。
今まで、何度も何度もおれが言い続けてきてる事だから。
そのまましばらくじっと見つめあう。
それでも何も語ろうとしない。
――イライラする。
しょうがなく言いたくないことを言う為に、渋々おれから先に口を開いた。
「アイツは何にも気づいてないし、気づくこともないし、もし気づいても……ッ」