小説(Ice Parallel)
□「アイノコクハク?」(短期集中?連載中)
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『アイノコクハク?』
跡部が、プレゼントをくれた。
誕生日でもないのに、と言えば、似合うと思ったからだと返された台詞。
用意されていたのは大小幾つかの箱。
大きなペーパーボックスの中から出てきたのは、デザイナーの知人に作らせたという上質な黒いミンクのコート。
ありがとう、とココロの底から礼を言い、他の箱も開けた。
「……コレ、なんや」
「あぁ?見れば分かるだろ」
「わかっとるわ。見てからゆうてんねん」
幾つかある小さなビロードのケースの内、一つから出てきたのはこれまた黒いふさふさしたミンクの毛皮に覆われた、二センチ幅の細いベルト。
ご丁寧なことに、金具はメッキではない本物の金らしい。
ここまでは良い。
問題は、長さだった。
手に取ってみれば、手首に巻くには長く、腰に巻くには短すぎる。
この長さは…。
「どこに巻くねん」
分かっていたけれどもつい、呟いてしまった。
「ここに決まってんだろ」