+恋愛系+

□恋せよ乙女☆
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「人を好きになるって、難しいよね。」
隣の席に座っている友達が、いきなりそんな事を言った。
夕暮れの教室、生徒のほとんどは下校してしまっている。
私達は、家に帰るのも嫌で教室でダベッていた。
「どゆこと?」
私は、机に乗せたポッキーを一本かじりながら聞いた。
「だってさぁ…ただ好きでいるだけならいいのに、だんだんそれだけじゃ済まなくなって来るんだもん。」
友達は、そう言いながら自分の座っている席の机にダレ〜っと伸びた。
伸びをした猫みたいだ。
「そうかもね〜」

言われて見ればそうかもしれない。
初めは好きなだけで良かったのに、だんだんと自分のものにしたくなる。
一緒にいたくて、話したくて、自分だけ見て欲しくなる。

「……欲張りだよね、私達。」
私はそう言って、またポッキーをかじった。
「アンタはそうかもだけど、私は別に欲張りじゃないもん」
友達はそう反論すると、私のポッキーに手を伸ばす。
私は、スッと友達の手をかすめるように箱を持ち上げた。
「残念。そんなこと言う奴にあげるお菓子はありませぇん」
意地悪そうにそう言って最後の一本を口に運ぶ。
友達はむくれながら、
「やっぱ欲張りじゃん」
そう呟いた。
だって、最後の一本って自分で食べたくない?
私だけか?

『こら、下校時間だぞ!早く帰りなさい』
隣の教室からそんな声が聞こえてきた。
あの声は、生徒指導の鬼教師。
私達は顔を見合わせると、荷物を持ってそそくさと教室を後にした。
途中、その教師とすれ違ったから、怒鳴られる前に…
元気よく
「「先生さようなら〜」」
と言って走って逃げた。
後ろから
『廊下は走るな!!』
って声が聞こえたけど無視無視。
「逃げるが勝ちってやつ?」
「でしょう☆」
二人でそう言って笑いながら玄関を出た。
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