ユメ02
□哀しいピエロの愛しい貴方は
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「愛してますよ」
彼に捕まってから3ヶ月が過ぎた。
昼か、夜か、解らない。
窓のない暗い部屋。聞こえる音といえば、扉の開閉の重苦しい鉄の音と、私の悪あがきの為の爪が削れていく音。がりがりがり、頑張っても頑張っても報われないなんてやっぱり私がノアだから?神様は私を見捨てるのかしら。
「…私は、ノアなの。相容れない存在なのっ、気付いて!」
貴方が万が一好きだったとしても周りが許さないの。特にアレンだなんて、千年公が許してくれる訳が無い。
「なんで?ノアだから、エクソシストだから何が悪いんですか。」
「何が悪いって、そんなの運命なんだから変えようがないの。だから、私を方舟に帰して」
笑顔が消えたアレンの顔を、眼を睨みつけて言い放つ。
地雷を踏んだのだろうかアレンが笑いだした。けたけたけた、壊れた人形のようにけらけらけら。
「嫌だなぁ…帰さなきゃならないならいっそ、僕のモノになっちゃうようにしましょうか」
高笑いをしながら一歩、また一歩と近付いてくる。後退りしようにももう後ろには壁が広がって下がれない。
手にナイフを持っていて、ノアの私用なのか柄や刃には教団の中の1つの"鴉"と呼ばれる彼等が使っているような札で巻いてある。
来ないで、
声にならない叫びをあげたけど貴方の耳には既に聞こえていなくて。
ぶわ、とナイフを振り上げる。
ぐ さり、 ぐさり、グ サリ 。
彼女の身体にすう、と刃物が入っていく感覚。
、痛い。痛い…、と泣いていたけどもう聞こえない。聞きたくない。
心臓に突き当たったとき、君の眼が更に開いて、かは、と血を吐いた。
息が止まって心臓が停まったときに、目の前にいる君が、初めて俺の物になったって実感したんだ。
哀しいピエロの愛しい貴方は
(もし、君がノアじゃなければ)
(こんな運命じゃ、無かったのかも、ね)
―――
最後の一人称が俺なのはわざとです←
新・人格みたいな。