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□ささやかな夕食
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「…で、どうする?」
目の前に置かれた一枚の紙。ロックオン、アレルヤ、刹那、ティエリアは顔を見合わせていた。

――今日は用事があって泊まりがけになります。だからご飯は自分達で作ってねみんなのお母様スメラギ――

ってなんだよ!」
ロックオンはテーブルをバシッと叩く。
「まあまあ…でも誰が作ります?それとも出前とりますか?」
アレルヤがなだめ、問い掛ける。
「いや…俺は金がそんなに無いもんで…。金は母さんが取り仕切っているし…。」
「亭主失格ですね。我が家の大蔵大臣は母さんですか?まあ、ここは妥当に父さんが夕飯作ってください。」
ティエリアのキツイ一言をロックオンに見舞う。
「ムリだ。そこも母さんに任せっきり。それよりハレルヤは?」
「仕事って言ってましたよ。」
「…腹減った。」
はぁっとロックオンはため息をつく。
「仕方ない。じゃんけんで決めないか?」
「僕はいいよ。」
「…ちっ。」
「腹減った。」

ジャーンケーンポンッ!

「…俺か。全く…。」
結果、ティエリアが夕飯を作ることになった。
ロックオンにエプロンを渡され、ぶつぶつ文句を言いながらも、しっかりと着込む。
「いやー楽しみだな!」
「僕、ティエリアの手料理を食べてみたいって思ってたんですよね。」
「ご飯…。」
残りは台所へ向かうティエリアを見送り、期待に胸を膨らませていた。
しかし、その夢もすぐ覚める。

ガッチャンッ!
グシャッ!
パリーンッ!

「…分かった。もういい。」
「僕達がやることにするよ?だからティエリアは向こうに、ね?」
一気に戦場と化した台所に立つティエリアの肩を、ロックオンは叩きながら言い、アレルヤは割れた皿を取り上げつつ言った。
ティエリアは自身の失態に肩を震わせる。
これで一体いくつの食器が駄目になっただろうか。
そんなとき、玄関の戸が開いた。
「ただいまーって、お前等まだ食ってなかったのかよ。」
「お帰り。ハレルヤ。」
スーツを着崩したハレルヤが帰ってきた。
「何でこんなに遅かったんだ?」
「お袋がいないとどうしょうもなくなるからな。男所帯は。俺はごたごたに巻き込まれたくねぇ。」
「…最低だな。お前。」
そんなとき、刹那がハレルヤの裾を引く。
「んあ?刹那、どうした?」
「…お腹すいた。ご飯、作って?」
上目づかいに甘え声。
ハレルヤはそんな刹那を見ると、ギュッと抱き着く。そのときの冷めた刹那の表情はハレルヤには見えなかったようだ。
「ああ!もちろんだ!可愛い刹那のためにメシ作ってやる!」
呆れたようにロックオンは二人を見る。
「てか、お前に作れんのか?」
「ったりまえだ!仕事場で散々まかない作ってるからな。」
そう言うと、ハレルヤは台所へ向かって行った。


「どーよ?」
「…ふんっ。」
「お前にこんなん作れんのか!」
「美味しい…。」
「まあ、残りの米に適当なもん入れただけの炒飯だけどな。」
作られたものは、簡単な炒飯。それでも、ティエリアの惨劇に比べると神のような出来だった。
得意そうなハレルヤに夕飯を掻き込む四人。



とりあえず、ソレスタル家は夕ご飯にありつけたのだった。





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