復活小説

□雨の中
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道を歩く二人。空気は冷めきっている。
ツナは雲雀の顔を伺う。相変わらず表情は変わらない。
ツナは今日何度目か分からない溜息を雲雀に分からない程度につく。
そもそも、群れることの嫌いな雲雀さんはなぜ自分といるのだろう?という疑問をツナは繰り返していた。
「…よし……綱吉……?」
「…えっあっハイ!」
だから、雲雀に呼ばれていてもなかなか気付かなかった。
「僕の話聞いているの?」
「あっいえ…」
「そんなとこにいると濡れるよ。もっと近寄りなよ」
そう言われ、ぐいっと肩を引き寄せられた。
「うわっ…えっ?」
ツナと雲雀の距離はあまりにも近すぎる。気温は低いというのに、ツナの頬はこれ以上無いくらい上気していた。
ぐるぐるとツナの思考が回る。
「なっ…べっ別に結構ですから!!」
頑張って離れようとするのに、雲雀の手はそれを許さない。抱きしめられるような格好になる。
「僕に逆らうの?」
「そんっ…な、そんなこと…!」ふうんと呟き、そのまま歩き続ける。ツナはどうしたらいいのか迷う。
「綱吉は僕のこと嫌いなんだ」
「違いますっ!」
自分でも大きいと思うほどの声を出していた。
あの雲雀でも少し驚いた表情をする。
「じゃあなんなの?」
「いえっあの…その…」
しどろもどろになるツナ。
「はっきり言わないんだ。あぁ…もう着いた」
気付けばすでにツナの家の前だった。
「あっ、もう着いたんだ…」
そろそろ雨足が弱くなり始めている。
「すいません…。今日は傘に入れて頂いて…」
「別に。じゃあ続きは学校で聞こうか」
「何を…?」
「僕のこと嫌いじゃなくて、なんなのか」
雲雀は含み笑いをする。
「えっ!えぇ…っ」
ツナは慌てふためく。
「楽しみにしているよ」
そう言うと、雲雀は今来た道を戻っていった。
「…俺の為にしてくれたのか…雲雀さんは」
雲雀は傘も無いツナの為に送ってくれたという事実。
「なんで…」
また頬が上気してくるのがわかる。
「…ハア…。情けないな、俺」
と同時に自分のふがいなさに落胆する。
「最初から気付くべきだったんだ。あの雲雀さんは帰るなんて言って無かったじゃないか…」
それでも、と雲雀の帰った道を見る。
「明日学校で、ありがとうを言わなきゃな」
ふ、と微笑みツナは家へ入っていった。
雨はすっかり止んで、虹が出ていた。
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