復活小説
□雲雀バースデー
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ジリリリリリッ
雲雀は目覚ましの音で目が覚めた。
「…」
コンコンッ
ドアをノックする音も聞こえる。
「…咬み殺す。」
寝起きを邪魔され機嫌が悪くなる。
しかしいつまでも続くので寝ぼけ眼を擦りつつ、パジャマのまま玄関へ向かった。
「五月蝿い。一体誰…」
「きょーやっ!誕生日おめでとう!」
ドアを開けた瞬間、ディーノが抱き着いてきた。
しかし、それを突き飛ばすように雲雀は離れる。
「あなた何?朝から五月蠅い。」
「何連れないこと言ってんだよー。今日は恭也の誕生日じゃないか。祝いに来たってのに。」
「…ああ。」
そこで雲雀はやっと今日が自身の誕生日ということに気付く。
「それで何?あなたは貴重な休みの僕の邪魔をしに来たって?」
「きょうやぁ…」
項垂れるディーノを見てさすがに可哀想になったのか、雲雀はからかうのをやめた。微笑を浮かべつつ、言葉を繋げる。
「いつまでそこに立ってるの?早く中に入りなよ。」
その言葉にディーノの顔は輝く。
「じゃあ、おじゃましまーすっ!……っおわぁ!」
そう言って、早速玄関で転ける。
「あなたのドジっぷりは、相変わらずだね。」
そこに、この空間に似つかわしくない声が響く。
「おやおや、今日は雲雀君の誕生日だと思って来たのに先客が居るとは。」
「六道骸、何しに来たの?」
「もちろん、あなたの誕生日を祝いに。」
クフフと笑う骸を前に、ディーノの機嫌がよろしくない。
「お前、恭也の何なんだよ。」
「…ライバル…でしょうか?」
「へえ、あんたみたいのが恭也のライバルなのか。」
「そんなあなたこそ、何なんです?さっき、玄関で転んでいたでしょう?」
「恭也の師匠兼恋人だ!」
「違うっ!」
「ふうん。まあ、僕には及びませんね。」
ディーノと骸の間に火花が散りそうな程の勢いで二人は睨み合う。最早、雲雀の声も届いては居ない。
「第一、あなたのどこが雲雀君に相応しいと言うんです?」
「何言ってんだよ?ルックスは俺の方が上だろ?」
「戦闘能力なんか、僕の足下にも届かないというのに。」
「はんっ!俺の方が恭也と一緒にいた時間が多い!」
「全ては時間より質でしょう?それなら僕の勝ちです。」
「…僕、学校行ってくる。」
「そもそもお前は敵だろ?そんなんが、恭也と居ようってのがおかしい。」
「敵か味方なんか関係ありません。僕は、雲雀君を愛しているのです。」
バタンとドアが閉まる。雲雀が外へ出たようだ。
「恭也待てよ!」
「雲雀君っ!僕を置いていかないでください!!」
「あれ?雲雀さん。」
学校へ向かおうとする雲雀は、ツナと会った。
「よかった。これから呼びに行こうと思ってたんですよ。」
にこやかな笑顔でツナは雲雀に言う。雲雀には、合点がいかない。
「とりあえず、俺の家に来てくださいよ♪」
後ろでは、まだ二人が喧嘩を続けている。このまま一人で居ても結局巻き込まれるだけなので、素直にツナについて行くことにした。
「ほら、雲雀さん。早く入ってくださいよ!」
ドアを開けるとにぎやかな声が聞こえる。それはいつもいるちびっ子の声だけではない。
「おっ!主役の登場なのな!」
「おお!雲雀来たか!俺は極限に嬉しいぞ!」
「…げ、雲雀、本当に来たのか。十代目、本当にこいつの誕生日パーティーやるんですか?」
「●○■☆△○!!」
「ランボさんケーキ食べるもんねー!」
「ちゃおっす。雲雀、よく来たな。」
山本、笹川了平、獄寺、イーピン、ランボ、リボーンが沢田家の居間に集まっていた。
「…群れるな…」
「ヒッヒバリさんっ!今日は堪えてくださいよっ!みんな、雲雀さんの誕生日を祝うために集まってるんですから!」
雲雀は構えかけたトンファーをしまった。
「…そう。」
本当の話、一同はこう思っていた。
『あの雲雀が、群れていてもトンファーを抜かないなんて、何なんだ!』
本音は顔に出さないように気を付け、とりあえず、誕生日パーティーを楽しむことになった。
…という訳にもいかず、この後ランボがケーキをぶちまけ、ビアンキまでもがやってきて獄寺は腹痛で退場。了平は歌い出し、山本もそれに乗る。そんな騒ぎの中だからさすがの雲雀も耐えられるはずもなく、結局咬み殺されて強制終了。
満足して帰ろうとする雲雀に、ぎりぎり意識のあったツナは雲雀に駆け寄る。
「ヒ…ヒバリさん、えと、これ。」
「何、コレ。」
「プレゼントです。やっぱり、こうなると思ってたので。隠して置いたんです。喜んでもらえるか分からないけど…」
「貰うよ。綱吉のくれた物なら。」
「雲雀さん。」
「何?」
「誕生日おめでとうございます。」
精一杯の笑顔で、ツナは言う。
「ありがとう。」
雲雀の方も静かに笑う。
帰る途中、雲雀はこんな大勢の人に祝われたのはどれくらいぶりだろうと考える。はっきり言って、無いに等しい。それを考えると嬉しいものだと思う。
しかし…何か忘れているような。
まあ、覚えてないのなら大したことはないだろうと、帰路の途に着いたのだった。
「きょーやーっどこに行ったんだー?」
「雲雀くーんっ何処行ったんですーっ?」
二人は大声で雲雀を捜している。
「全く…恭也はお前が嫌いだから何処か行ったんじゃないか?」
「何を言ってるんです?あなたのことが嫌いだから行ってしまったんでしょう?」
険悪な空気のまま、二人は雲雀を捜し続けていた。
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