復活小説

□雨の中
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「はぁ…」
雨の中、ツナは学校の玄関口で止むのを待っていた。
ざーざーと降りしきる雨は、可憐に咲いているアジサイを濡らし、カタツムリを輝かせている。そんな中、ツナは憂鬱な空気をまとっていた。
「このまま帰っちゃおうかなぁ…」
こうなったのには話がある。



◆◇◆◇◆◇



「あっ!雨降って来てる!」
「十代目、実は今日…」
「今日の部活は中になるのなー」
ホームルームが終わり、帰ろうとしている三人。先程から降っている雨は教室を暗くしていた。
「じゃっ!ツナ、獄寺!俺、部活行ってくるわ!」
山本は二人を残し、部活へ走って行った。
山本が行ってこれから帰ろうかと言った時、ツナは声をあげる。
「あっ!今日、俺傘持ってきてないんだった!」
そう言って獄寺に頼ろうとして見ると、獄寺は土下座をしていた。
「ちょっと!獄寺くん!どーしたの!」
慌てるツナ。
「もーしわけございません!!十代目が傘も無いというのに、俺はお助けすることが出来ません!」
ツナはオロオロとする。
「いったい何があるの?!」
「このような雨になると調子が悪くなるもので、いつも医者に行くんですけど、今日も実はそうなので…無視すると後が怖いですし…」
獄寺の視線が宙を彷う。
「えっ!じゃあ早く行きなよ!俺はどうにかするから、ね?」
「申し訳ありません!すぐに戻って来ますので!」
「そーはいかねーぞ」
「リボーン!」
窓にリボーンが腰掛けている。
「獄寺はそれが終わったらすぐにオレの所にこい。何よりもだ。ツナは一人で帰れ」
さすがの獄寺でも、リボーンの言うことには逆らえない。
「すみません…十代目…。後で埋め合わせしますので…」
「いや、そんなのいいよ。身体気をつけてね」
ツナは手をひらひらと振る。
そして獄寺はリボーンに連れられ、教室を出ていった。
残るのはツナ一人となった。



◆◇◆◇◆◇



「やっぱり雨に濡れても帰ろうかなあ…」
空を仰いで呟く。
と、ふと応接室の方を見遣る。
「…まだ仕事してるんだろうなぁ…雲雀さん」
いつも、遅くまで学校の仕事をこなしている雲雀のことを想う。ただ、何となく想っただけだった。
「綱吉、傘に入りなよ」
「ヒッ雲雀さん!いえいえ!結構ですよ!!」
そんなツナの心を読んだように、並盛中最凶の風紀委員こと雲雀恭弥がツナの前に現れた。
ツナは動揺する。正直言って、雲雀が怖い。雲雀には何度も殺されかけているからだ。もちろんそれだけで動揺した訳ではないが。
「別に何もしないよ。弱い草食動物が雨に濡れてなおさら弱くなるのが嫌なだけ」
しかしツナの心を察したように雲雀は言う。
「じゃあ…すみません…」
おどおどとしながらも、雲雀の傘に入るツナ。そして、ちらりと雲雀の顔を見る。
そして、二人は雨の中へ歩き出す。
まだまだ雨は止みそうになかった。
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