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□願い事叶うなら
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「…願い事が全部叶ったらいいのに」

おもちゃのチラシを見ていた刹那がボソッと呟いた。側にいたロックオンは新聞から顔をあげる。

「そーゆー訳にもいかないさ」
「なんで?」
「何でって…あれだよ」

言ったはいいものの、どうも上手く次が出て来ない。
頭をかきつつ、宙に行く視線。

「だって願い事が全部叶えば、欲しいものもしたいことも全部出来る。なのになんで出来ない?」
「………例えば悪い奴が『世界が不幸になってしまえ』って願い事したらどうだ?これは叶えてもいいと思うか?」

しばらく俯き考え込む。そうしてやっと答えが出たのか、真面目な顔を上げる。

「よくない!」
「だから願い事なんてそんな簡単に叶わないの。わかったか?」
「うん…。……でも、もしそんな願い事が叶う前に『世界が幸せになりますように』って願い事する」

刹那は真剣な眼差しでロックオンを見つめて言う。
ロックオンは目を丸くし、そして柔らかく微笑んだ。

「そーかー。刹那は優しいなぁ」

そう言ったロックオンに頭を撫でられ、刹那にはえくぼが出来る。

「じゃあ、お父さんが刹那の願い事をひとつ叶えてあげようか?」
「ホント?」
「ああ。お父さんが出来ることならな」

苦笑しながら刹那を見て、一方の刹那はキラキラと目を輝かせながら懸命に考えている。

「んーと…じゃあ、ストライクフリーダムが欲しい!!」
「おーわかった。そんじゃ今度おもちゃ屋さんに行こうな」
「うん」

頷き再びおもちゃのチラシを眺め始めた刹那。新聞は既にたたんであるロックオンは、空いた手で刹那のくせっ毛を撫でている。

――刹那が世界の幸せを願うなら、俺は家族の幸せを願おう。

目を細め、愛息子を見ながらロックオンはそう考えたのだった。







〜後書き〜
…何だこれ。ほのぼの…だよね。うん…。
多分刹那は小学校上がる前かそのくらい。
小さい子はやっぱ物欲なんだね(笑)

読んで頂きありがとうございました。

081130

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