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□チョコと日常
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「トリックォアトリィ〜ト〜っ!」
ある日の夕方、ここ経済特区日本のマンションの自室にいると、いきなり玄関の方から叫ばれた。
やけに上機嫌な高い声とそれをいさめているような男の声がする。
その声には聞き覚えがあった。

「…何の用だ」

玄関を開けてみれば、そこには隣の部屋の沙慈とガールフレンドのルイス。

「こんにちは…」
「いきなりなんなんだ」

はしゃぐルイスを押さえるようにして沙慈は軽く会釈をした。

「実はルイスが酔っ払っちゃったみたいで…」
「…未成年だろう?」
「食べたお菓子の中にお酒が入っていたんだと思う。そしたら『みんなからお菓子貰ってくる!』ってこんなことに…」

なるほど。確かにルイスは呂律が回ってない上に焦点もあってない。頬を紅潮させて未だに叫んでいる。

「ごめん。早くルイス連れてくから…」
「ちょっと待ってろ」

ルイスの手を引き、自分の部屋に戻ろうとする沙慈に一言告げ、一度中に戻る。確か、飴やチョコのひとつくらいあったはずだ。



戻ってきた刹那の手には板チョコがあった。

「これでいいか?」
「えっ、いいの?」
「…これだけでルイスがおさまるのなら」
「無理…かも…」

脇には衰える気配さえ見せないルイスがチョコを嬉しそうに見つめている。それでもまだ物足りなく思っているような顔なのだからこの次の部屋にも回らなくてはいけないらしい。

「でも、本当ありがとう!僕は頑張ってルイスを止めるよ」
「そうか」

一瞬、刹那が微笑んだ気がしたのは気のせいだろうか。
そうして自分達は、刹那の部屋をあとにしたのだった。



沙慈達を見送って、あらめて平和ということに気付く。
ルイスにやったチョコレート一枚。自分が幼い頃には見たこともなかった。
だからこそ、この平和を求めているのか。この平和を守りたいと思うのか。
出来ることならかりそめの平和でなく、本当の平穏を。
ならば自分はこれらを守る為に戦おう。
これからも、さいごまで。




〜後書き〜
…これ、ハロウィン?
ルイスが一言しか喋ってねぇ…
沙慈刹っぽいような沙慈+刹那っぽいような…。
イベントごとだと何を書いてるんだか分からない物が出来るね(笑)
一期の平和な経済特区日本組が好きです!
それでは、読んで頂きありがとうございました(*^^)

081031


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