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□田舎のゴールデンウイーク
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(家族パロで幼児な子供達)




時期はゴールデンウイーク。
皆はこの休みを利用して、田舎のおじいちゃん家に来たのだった。



「…で、何で水田に来るんですか」
「えー?田舎と言ったら田んぼだろ?」
「空気が綺麗だね!ハレルヤ!」
「あーうん。そうだな」
「刹那ー?おたまじゃくしいるぞー!」
「本当?」

もちろん、皆がいるのはおじいちゃん家裏方の田んぼ。春先なので植えたばかりの稲は青く、様々な生き物が中にいた。

「うわー!たくさんいる!」
「……近寄りたくない。汚れたくない」
「ティエリア…んなこと言うんじゃねぇよ」
「ハレルヤー?ティエリアを睨まないの。刹那!もうちょっと近付いてもいいんだぜ?」
「……うん」

田んぼの中をのぞき見る刹那。黒くて小さいおたまじゃくしがうようよと泳ぎ回っていた。

「うわー…」
「へぇー!本当にこんないるんだな!」
「気持ち悪い。グロテスクだ」
「だからティエリア?そんなこと言っちゃダメ!」

ティエリアには合わないらしく、田んぼから離れた所に立っていた。他の四人は田んぼのすぐ側だ。
よく見ようと、刹那は一層のぞき込んだ。
瞬間、ぐらっと前のめる。

「刹那っ!」
「わぁっ!」

幼児は頭が重い。そのせいもあっただろう。見事に頭の方から田んぼの中へ落ちてしまった。
全身が泥まみれになる。

「……う…うぇっ……えぐっ…」
「刹那ーっ!大丈夫か?」

手を伸ばしたロックオンによってすぐに引き上げられたものの、泣き出してしまった。

「…だから田舎なんて嫌なんだ……」
「こらっ、ティエリア!刹那、大丈夫?」
「大丈夫か?!」

傍らで見ていた皆は駆け寄る。

「刹那ー、ホラ、泣くなよ?ちょっと汚れただけだからな?」
「うー……」

外傷は何もないし頭を打ったわけでもない。泥がクッションとなったのだろうが、それでも上から下まで汚れた刹那はぐずっていた。

「あっ!刹那、肩!」
「おっ、本当だ」
「うぇ……?」

突然のアレルヤの声。その声に刹那は反応し、言われた方を向いた。

「わぁっ!」
「アマガエルだな」

肩先にいる小さな来客。それの名称を的確にティエリアは言った。
最初は驚いたが、刹那は怖がることなくまじまじとそれを見る。

「小さい…」
「『刹那クン、早ク泣キ止ンデ』だってさ」
「オヤジ、キモチワリイ」
「ハレルヤ!」

ロックオンは声色を変えてカエルの代弁をしたかのように言う。
それにハレルヤが揚げ足をとったのでアレルヤがいさめた。
しかし刹那は純粋にカエルを見つめる。
そして泣き止み、笑った。

「知っているか、刹那。あのおたまじゃくしからこのカエルになるんだ」
「正解!よく知ってるなティエリア」
「…おたまじゃくしがカエル…」

そっと手を伸ばして捕まえようとする。しかし手が届く前にカエルは逃げてしまった。

「なんだ、逃げやがった」
「残念だったね、刹那。おたまじゃくし捕ったけどいる?」
「いる!」

カエルの去った先を物足りなさそうに見つめる刹那に、アレルヤはすくったおたまじゃくしを見せる。それに強く頷いた。

「そんじゃ、刹那が泥まみれだし、アレルヤがおたまじゃくしすくったし、じいちゃん家に戻るか?」
「オレ、刹那と風呂入るー!」
「ずるい!僕も!」
「はいはい、おとなしくなー」

父親は子供達の頭を撫で、にっこりと笑った。
ロックオンは刹那を片腕に抱き、もう片方はアレルヤ。アレルヤは反対の腕でバケツを持っている。ハレルヤとティエリアは後ろをついて来ていた。

そんなある晴れた春の一日だった。




=====
「大体なんだ。君は父親のくせに子供達から目を離しているのか?」
「いや…その、すみません…イオリアお義父さん…」
「君にお義父さんと呼ばれる筋合いはない!」
「もう、やめてくれない?父さん…?」





=====
きっとロックオンはイオリア義父さんに頭が上がらない(笑)

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