花の天使T
□〜沖田〜11
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某日
「土方さん見回りですかィ?」
屯所の玄関へ向かう土方さんに俺は声をかけた。
「ああ」
「俺も付き合いますよ」
こんな事を言った俺に土方さんは驚いたんだろう、目を剥いて俺を見た。
まーそりゃ俺ァ土方さんとなんか好き好んで行動しねーし、したくもねェ。
だが今日は面白ェモン見れる予感がするんだ。
「珍しいなオイ。そういや山崎は?」
「奴も見回り出てますぜ。なんだか張り切ってやしたね」
「アイツが見回りで張り切るなんざ怪しいな」
そーなんでィ。それが俺も気になってんだ。
薄々、感づいてはいるけど。
屯所を出て通りかかった大江戸ストアで土方さんは足を止めた。
「煙草買ってくるわ」
店に入ってく土方さん。
煙草なんて、いつもなら山崎にまとめて買ってこさせてるくせに。見え見えだぜ。
でも、すぐ土方さんは出てきた。買ってきた様子はねェ。
「買ってこなかったんですか?」
「やめた。明日でいい」
それが、なんでか俺は察した。
「明日にする理由があるんですかィ?」
「気が変わったんだ。今日はもつからいいわ」
嘘つけ、お目当てが居なかったんだろーが。
これで俺の勘は完璧なモンになった。
*