花の天使V
□〜ヒロイン〜16
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あなたと過ごして、どれくらい経ったのかな。
あの時はなんで、あたしを連れ去ったんだろうと思った。
『不覚にも、手なずけられちまったみてェだなァ。お前に』
そう言った、あなたのあんな表情を見てしまってからは怖いという思いはもうなかった。
ただ慣れなくてずっと緊張してたあたしに、あなたはいつも「逃げたきゃ逃げろ。俺といても、ろくなことねェ」が口癖だったね。
――わかってた。
アタシハ、アナタトイテハイケナイ。
でもその気持ちとは裏腹に、あたしはあなたといたいんだと思った。
手遅れだった。
あたしは既に、あなたに惹かれてて――あなたと過ごす時間が長くなればなる程、その想いは強くなっていった。
心に生まれた葛藤――
銀さんのことも心の片隅にあるから苦しんだ。
もう銀さんは、こんなあたしを許してはくれないだろう。
だって、あたしは――銀さんを裏切ったんだから…………
*