誕生日、他ネタ
□Merry Christmas〜万事屋
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深夜、雪降る寒い日に何故こんな事をしなければいけないのかと身震いしながら知人の家に忍び込む男が一人。
縁側を足音を立てずに忍び足で目的の部屋へ向かう手前、勢い良く障子が開いて仰天する。
「くせ者ぉぉぉ!!」
「オワァッ!!」
飛び出してきた人物が振るってきた薙刀を、すんでのところで男はかわした。
「……あら、銀さんですか?」
「おまッ……あっぶねぇだろうがッ! 聖なる夜に死ぬとこだったよ俺ッ!」
「こんな夜更けに忍び込んでくるのが悪いんです」
悪びれもなく薙刀を立てて言ったのは、お妙。
「だからってお前、いきなり薙刀で襲ってくるか?」
「世の中、物騒でしょ? 自分の身は自分で護らなくて、どうするんですか」
「そんなことをせんでも俺が傍で護ってあげますよ、お妙さん」
突然、縁側の下から顔を出した男に即行お妙は薙刀を振りかざす。
「死ねぇぇぇゴリラァァァァ!!」
「ギャアアアアア」
「フゥ、ホント物騒な世の中だわ」
返り血を浴びたお妙に、お前の方が物騒だよと銀時は思ったが口に出さない。
いや出せない。出した瞬間に菩薩のような笑顔で串刺しにされ、ゴリラの二の舞になる事は充分理解しているからだ。
「つーか、お前アレだよ? 普通、聖なる夜に聴くのってアレじゃん。ジングルベルとかじゃん。ゴリラの断末魔の叫びって、お前」
「それより何しに来たんですか」
「…………」
こんな事があって本来の目的を見失いそうになっていた銀時は、お妙に問われてバツが悪くなる。
二人に気づかれないように事を済ませて帰ろうとしていた計画が台無しだ。
新八が起きてきていないのが幸いだったがバレてしまった以上、白状せずにはいられなくなって銀時はため息をついて答える。
「いやお前、このカッコ見りゃわかんだろ」
「……何かの仮装ですか?」
「何かぁぁぁ!? ま、そうだけど言わなくてもわかるよね?」
「はぁ」
首を傾げるお妙に、まさかサンタを知らないとかいうのではないかと銀時は思ったが口に出すと、また殺られる気がして噤んだ。
「とにかくアレだ、お前の可愛い弟にプレゼント持ってきたんだよ」
「まあ銀さん。新ちゃんのために、そんなことをしてくださるなんて」
感激した様子のお妙の前で、銀時は視線を逸らして頭を掻く。
「まあな」
そっと新八の部屋の襖を開けて、お通のポスターだらけの部屋に入り忍び足で歩み寄れば新八は熟睡している様子。
寝言で口にした名から新八が見ている夢はお通のようで、銀時は選んだプレゼントが足を運んでなんでもいいからくれと頼んだお通の私物でよかったと思う。
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