小説みたいなの

□memory
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僕は



この子を知ってる



召使いが誰かにぶつかったらしく、何やら会話が聞こえてきた。と思ったら、ぶつかった女の子はいきなり僕の方にきた。

「ちょっとっ起きなさいよ!あたし貴方の車にひかれそうになったのよ?!それなのに寝てるの?!」
「ん〜…だって、緑は進めだろ?」
なんだか寝ぼけていたからついその子の緑の肌に驚くのも忘れていたけど、内心心臓が跳ねてる。


───見た事ある。

引き止めようかと思ったけど、なんて言えばいいのかわからなくて。

その代わり、必死に記憶の糸を手繰り寄せた。






あれは確か、5年前…


マンチキン国とウィンキー国の、パーティー会場だ。


「つまんない…」
大人に愛想よくするのも疲れるし、話しをする友達もいない。マンチキン国総督に二人近い歳の娘がいることは知っていたが、そこまで行く気にもならなかった。
それに、一度は自分の国と戦争をした国と、何故パーティーを開くのかフィエロは理解出来なかった。

「母様、外に行って来ます」
適当に母親にそう告げると、フィエロはすっかり暗くなってしまった外へ出て行った。

「…?話し声が聞こえる…」

『…でさー …マジか… ギャハハハ 』

暗闇から、下賎じみた話し声が聞こえてくる。

「…そこで何をしている」
『は?誰だお前』
「この敷地内はお前達の様な者が入っていい場所じゃない」

不良達が、一斉にフィエロをにらんだ。暗闇だからか、フィエロの正体には気付いていない。

「年上には礼儀をわきまえろよ…小僧!!」

ガンッという鈍い音が、あたりの闇に吸い込まれた。

「っぐ…!」
男達がフィエロを囲む。一人がさらに殴ろうとした時。

「     !!」
突然闇が一気に光に包まれ、フィエロの姿はハッキリと男達の目に写った。

「!!!フィエロ様!!!!」
怖じ気付いたように、一目散に男達は逃げて行く。











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