BASARA

□にちようび
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にちようび

[ 何気ない休日。の筈だった ]







行く手を遮ってくる敵兵を片っ端から蹴散らしながら、次の門へと急いだ。
門を守る隊長は、此処は通さん、とでも言うように立っていた。少しでも近づいたら走ってきそうだったので、離れた所から流星雨で殺してやった。
倒れた隊長の防具の中から鍵を取り、門の鍵穴に差し込んで回す。
すると、門はギギギという、重そうな、不気味な音を発てて開いた。
一歩踏みだし中を見回すと、そこは部屋の真ん中に大きな丸い柱があるだけの広い空間だった。
勿論敵兵は多数。
その中に一際目立つ緑が…

「お〜、ザビー。今日も貴方は美しい…」

オクラの様な兜。目に優しくない緑。
その人物、毛利元就は、扉に描かれたザビーの姿にうっとりと見惚れていた。
頬を紅く染めて、呟く姿に寒気がし、つい言葉を発してしまった。

「…キモッ…」

それが元就に聞こえたのか聞こえなかったのか、よく分からないが、元就はこちらを向くと両手を広げて高らかに言い放った。

「我は日輪の申し子、サンデー毛利!」
「彼はザビー今日に入信しました」

後から説明の様なものが聞こえてきた。

「我は愛に目覚めたのだ!」

そう叫ぶ元就に少し苛立ちを覚えた蘭丸は、ムカつくから困らせてやろうと考えた。
蘭丸は俯き、わざとらしく肩を震わせた。

「お前…」

その消え入りそうな声を聞いた元就は首を傾げた。

「蘭丸よりもそのザビーって奴の方がいいのかよ!うわあぁぁあんっ!」

蘭丸はそう言い捨て、わざとらしく涙を飛ばして走り去って行った。

「えっ…ちょっ、蘭丸!?」

元就は芝居だということに気付かず、本気で焦っていた。
腕を伸ばすが、走って行ってしまった蘭丸には届かず、手は空を掴んだ。
元就は既に見えなくなった蘭丸を追いかけて、ザビー城を飛び出した。


*


「おいっ、蘭丸っ!」

ようやく追いついた元就は蘭丸の腕を捕まえた。

「…ザビー教、抜けた?」
「勿論だ」
「…。そっか、よかった!」

蘭丸は元就の顔を見て、にっこりと笑った。
元就も、それに返すようににこ、と微笑んだ。





あるにちようびのはなし。
(何も見ていません。本当に)


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