FF7
□英語で5のお題 U
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Wail
[ 泣き叫ぶ ]
「お前が、」
「お前が…?」
「お前が、俺の分まで…生きる。」
「お前が、俺の生きた証だ」
「ザックス…? ぅぁああぁぁあ!!」
*
私の髪を撫でていた右手は、力無く垂れ下がりました。
その右手には、赤い液体がついていて、私の髪は赤く染まりました。
よく見ると、私の足元には赤い水溜まりができていて、その真ん中には黒い髪の男の人が横たわっていました。
私には誰だかわかりませんでした。
けれど、初めて見たという気がしませんでした。
きっと、何処かですれ違ったりでもしたのでしょう。
ですが、どうしても他人とは思えませんでした。
親しい仲だったような気がしてなりませんでした。
雨が降っていました。
あまり長く此処にいると、風邪をひいてしまいそうだったので、私は帰ることにしました。
立ち上がると、何かを持っていることに気が付きました。
ところどころが欠けてしまっている、とてもよく使い込まれている剣でした。
私はそれを持って、丘の頂上に行きました。
そこからは、ミッドガルの街全体を望むことができました。
私はそこに剣を突き立てました。
何故かはわかりませんが、そうしなければいけないような気がしたのです。
よく思い出すことは出来ませんでしたが、誰かと交わした約束だったと思います。
誰と交わしたのかは、どうしても思い出せませんでした。
*
帰ってすぐ、俺は寝室に向かった。
ベッドに横になると、急に睡魔に襲われた。
そのまま睡魔に身を委ね、目を閉じた。
次第に思考が白く霞んでゆく。
そして、意識は深い闇の底に沈んでいった。
*
『…お前…、俺……た…証…』
(…何だ?)
途切れ途切れの言葉に、聞き覚えがあった。
いつか、何処かで聞いている。
それは確かだった。
『……が、…の分…生き…』
『……ス?…』
傷だらけの黒髪の男が、俺に何かを話している。
俺はその男の名を呼んでいたようだが、そこはよく聞き取れなかった。
『俺が、…の分まで、………?』
『そうだ………るんだ。』
(これは…俺の記憶?)
やはりこの男に見覚えがある。
とても大切な人だった気がする。
だが、思い出すことができない。
あと少し、もう少しだけ思い出すことができれば…!
(思い、出せるのか…?)
(もし、全てを取り戻したら…)
クラウドは急に恐ろしくなった。
思い出してはいけない様な気がしてならなくなっていた。
思い出してしまったら、何かを失くしてしまいそうな気がしてならないのだ。
『…生きろ、クラウド』
(もう、やめてくれ…)
記憶の中の自分の唇が、次の言葉を紡ごうとしている。
(聞きたくない…!)
クラウドは耳を塞いだ。
思い出すのが怖かった。
だが、やはりこのままでいることは叶わず、
記憶の中の自分は、彼の名を、──呼んだ。
(あぁ…全てが取り戻される…)
『ザッ、クス…』
「ぅ、あ……ぁああああぁあ!!」
刹那、夢は醒め、クラウドは叫んだ。
涙が止まらない。
彼の死は、クラウドには余りにも大き過ぎた。
「ザックス…!…ッ!」
泣けないでいた子供は、朝が来るまで泣き続けた。
*
『俺の分まで生きろ』
「重過ぎるよ…俺には」
Wail - 泣き叫ぶ -
(思い出せなくてもよかった。…いや、思い出せてよかった。)
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