その他雨竜受

□想いの色合い
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お題・混沌の念い 1.混合色の混合より



『想いの色合い』








「お前って真っ白い」



唐突に、無駄に真剣な目をして

一護が言ったので


雨竜はふふんと微笑した。



「滅却師は白に誇りを持っているからな」


「滅却師の服もさることながら石田はどこもかしこも真っ白だ」


一護はふわりと後ろから雨竜を抱き締める。


網戸になってる窓の外から、どこかの夕ご飯の匂いがする。

幸せってこういう感じかなあ。と雨竜は思う。



「服も、肌も、心も、真っ白いのな」


一護が耳に唇を寄せる。

「それなら君は何色なんだろ。オレンジかなあ?」

「それは髪の色だろ。」
雨竜の髪をサラサラと梳きながら笑う。

今日も雨竜の髪はいい匂いがする。

「死魄装は黒いから、俺は黒かもしれないな?」

一護はそう言いながら内なる力を思い出してしまう。

浸食される感触。
内側から漲る渇望と、時折薄れる記憶は

闇のような印象を与える。
だから、
そうだなあ、黒かもなあ。と思ってしまう。




「正反対というわけか」
髪を梳かれながら雨竜は、まんざらでもないという顔でうっとりと抱かれている。

「そうだ。俺とお前は正反対なんだ」


そう大好きな声で囁かれたので、雨竜はまるで愛の言葉を囁かれたような気持ちになり吐息を甘くする。

「僕の心は、白くなんかないよ。君のこと考えると、グチャグチャなんだよ?」

雨竜はそうやって、お返しに陸言のように囁いてやるのだ。
本当は恥ずかしいのだけれども。


一護は少しびっくりした顔で雨竜の顔を見る。

そこには、腕の中に抱かれたまま、耳まで染めた雨竜が、
怒ったような拗ねたような顔で唇を尖らせているのだ。


「そうだな。今の石田は真っ赤だな」

「……馬鹿。」


滅却師として白に誇りはあるけれど、

君色に染まってもいいかな、と
雨竜は少しそんな風に思ってしまうのだ。


fin.
 

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