その他
□我が最愛
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お前はまだ遥か遠い地上にいるのか。
小さな光の粒子が広がる世界にそれはあった。実体などない、意識だけの存在。意識集合体とは、地上の人間は良く言ったものだと感心したのを覚えている。
しかし、今はただただ憎い。
愛しい子を苦しめる地上が、人間が、我が身が憎い。
「もうすぐだ。もうすぐ世界は捩じ曲がる。」
愛しいあの子の手によって。
ローレライは自らの眼下に広がる地上を見渡す。深い蒼を称える海も、緑に覆われた美しい森も荒れた砂漠も、立ち並ぶ人間の町も、全てがモノクロに見える。
時間を司る自分には、緩やかな変化などないに等しい。人間たちの進化も退化も分からない。
分かるのは、この星の行く末だけ。
感じるのは、愛しい子の波動だけ。
「早く戻っておいで。」
ルーク。聖なる焔の光よ。
私の元へ戻っておいで。
そして私を焼き尽くして。聖なる焔で焼き尽くして。そして私を抱いておくれ。
おいで、愛しい子よ。
私はずっとここにいるから。
お前を待っているから。
愛しい子よ。
お前は永遠に私のものだ。