小説

□第4章 約束
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 朧が小屋で休む頃、診療所では…
「んーー、遅い。遅すぎる。」
烈が苛立っている。その横で心配に駆られ、烈の近くをウロウロ歩き回る飛鳥。そんな飛鳥の足が急に止まる。
「烈、私…捜しに行く。」
玄関に走る飛鳥。
「待て!」
それを慌てて止める烈。
「…俺も行く。人数が多い方がいい。」
飛鳥の方へ行き、さっきまでの苛立ちが嘘のように冷静な面持ちで言う。烈の言葉を聞き、静かに頷く飛鳥。そして、2人が玄関を出ようとした時
「こんばんは、」
玄関の数歩先に愁がひっそりと立っていた。
「愁!…悪いが用があるなら後にしてくれ。」
烈はハッと驚き、少し早口で言い歩き出した。
「朧さんなら…」
烈と飛鳥の足が停まる。
「無事ですよ。少し深めの傷を負ってはいますが。」
「…どういう事だ?お前、何を知っている!?」
烈の口調が険しくなる。その様子に愁は顔色一つ変えずに烈の側へ行き、懐から一通の文を取り出し烈に渡す。
「…これは?」
「朧さんが書いた文です。」
「朧が!?」
愁はゆっくりと頷く。しばらくその文をジッと見詰める烈。
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