今,この夕焼けを見てあなたは何を考えているの…?


気が付くと私は多摩川の河川敷に座り込んでいた。
何で自分がここに居るか判らず,私は紅く染まっていく空を見上げる。
遠くから電車の音が聞こえてやっと思い出す。
些細なことで跡部と口喧嘩し,そのまま教室を飛び出したのだ。
私はいつも降りる駅をすっ飛ばし,思いの向くままに逃げてきた。
「馬鹿だなぁ…私」
自嘲気味に笑い,携帯のディスプレイを見る。
【17:43】と表示されるだけで,あの人からの着信もメールも無い。
今の時期には冷たすぎる風が私の身体に強く吹きつけた。
小さく身震いしてカバンを探るがお目当てのモノが見つからない。
「カーディガン,教室に置いたままだった…」
脱力感から仰向けに芝生に倒れ込んだ。
見上げた空はさっきより夕焼け色が濃くなり夜の訪れを告げる。
景吾が最近忙しいことくらい知ってた。
会長として生徒会の引き継ぎ,部長として部活の引き継ぎ,忙しくてなかなか会えないし,会っても少ししか話せなかった。
今日の放課後,榊先生から頼まれた書類を景吾に渡そうと,部室を訪れると忍足にまだ来ていないと告げられた。

【NEXT→続き】


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