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□オリジナル
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【盲目の男と子供】




桜の匂いがするな

桜?

ああ、ここらに薄い桃色の花弁は無いか。それが桜だ

あるよ。一本だけ、その下で皆その木愛でているよ。とても大きな木。でも華は小さい木

そうだ、桜の華はとても小さい、そして儚さが引き立っている、とても綺麗な華だろう

綺麗。けど、何故儚いものが綺麗なのかわからない。すぐに枯れて無くなるものが、どうして綺麗なんだ。わからない。どうして皆、すぐ散る華を至極と感じ、何よりも愛でているんだ?

桜は儚い。そして、人も儚い。桜の儚さから自分を見ているんだろうな、皆、この世に不要な人だとしても、今一時の美しさを眼に焼き付けてほしいと人は願う。その対象が在るのなら、愛でたいと思うのが人情なのだろうな

わからないよ、人は人、華は華だ。美しさの基準が違うのに何を張り合おうと言うんだ

ああ、私にも分からぬ。だから美しさにカワリナイんだろう。見て美しいと感じる以外に、何も思わないモノに一体なんの価値がある?


【目に映らなくともわかる、その危うい程に儚い情景】
【それこそ心にいつまでも刻まれる理由】

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