贈り夢

□天邪鬼
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"コンコン"

部屋をノックすると、中から『開いてるね』と声が聞こえた。


「何しに来たか?」

いきなり睨まないでよ。

「読書中よ。 邪魔するな。」

愛想悪いなあ。

せっかく差し入れ持ってきてあげたのに。

「クキー(クッキー)?
 ワタシ甘い物嫌いて知てるはずね。」

知ってるけど。

つれないね、ならあげない。

「ちょと待つね。」

え?

ドアノブに手をかけたまま振り返ると、本に視線を落としたままのフェイタン。

「誰が要らない言たか?」

何それ、嫌いなんでしょ?

「うるさいよ。 ささと寄越すね。」

食べて文句言うんだろなあ。

「甘いね。」

ほら、やっぱりね。

「不恰好ね。 お前が作たか?」

・・・・・・不恰好で悪かったね。

「まぁ・・・たまにはクキーも悪くないね。」

驚いて目を見開くと、フェイタンは降ろしていたマスクを引っ張り上げた。

「か、勘違いするな。
 脳には糖分が必要ね。
 読書中でタイミング良かただけよ。」

思わず、プッと吹き出してしまった。

「何故笑うか!?
 お前と違て頭使てるから糖分大事なだけね!」

慌てて同じこと繰り返してるよ。

かわいいなあー。

「も、もういいね!
 用が済んだなら、ささと出て行くよ。」

はいはい、とクッキーが乗った皿を置いて部屋を出ようとしたら後ろから呼び止められた。

何?

「もう行くか?」

え、さっき出て行けって言ったじゃん。

「読書の邪魔しないなら、別に部屋にいてもいいね。」

どっちなの?

「出たければささと行くね。
 お前がまだ行きたくなさそうだたから許しただけね。」

ええー?

いつそんな素振り見せたかなあ?

クスッと忍び笑いが漏れる。

一緒に居て欲しいならそう言えばいいのに。

こっち見ようとしないけど、マスクの中で赤くなってるんだろな。

ベッドに座って本を読むフェイタンに寄りかかってみる。

「なっ、何するね!?
 どどど、読書の邪魔よ!?」

どもり過ぎでしょ。

フェイタンは『やめるね』と言いながら何故か嬉しそうだ。

どうしてこんなに素直じゃないのかなあー。

でも、こんな天邪鬼なフェイタンがたまらなく愛しい。









〜アトガキ〜
相互記念に、Black*Cat の 閑 サマへ捧げます。
お題は『絵に描いたようにツンデレなフェイ』。
ツンデレってもっと萌え要素たっぷりなイメージなんだけどなあ(汗
主人公はヒロインでも他の団員でも好きなように解釈して下さい。

閑サマ、相互リンクありがとうございました!

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