言の葉

□雨の日
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「――君の口甘いよ」

どこか複雑そうに耳元で囁かれると身体がズクン、と敏感に反応する。

「・・アメ、食べたから・・」

「マズイ物食べないでよ。僕が迷惑だから」

無理矢理キスしておいてこの言いぐさはなんだろう?

「・・・っじゃあしなきゃ良いじゃない!」

胸を突いて抵抗を表すけどルックは意図も簡単に「したかったから」と、答えた。

(・・したかったらどこでしても良いわけ・・?)

一応、ここは同盟軍の庭、だ。
多分城の中にいた何人かは男同士のキスシーンを見たことだろう。
(・・別にどうでも良いけど・・)
別に誰に見られたからといって弁解するわけでもないし(面倒だから)
ずっとここに居る訳じゃないから誰が何を話てても気にならない。

でも・・

(ティオとかビクトールに報告されたら面倒かな・・)


「・・・・・・・・・」




「・・・・・・・・・」






「・・・・・・・ティオ、って可愛いよね・・・」

「・・・は?」

「テッドに似てない?」

親友の事裏切らない処とか、甘え上手な処とか。
うん、そうか。ティオはテッドに似てるんだ。

「・・・さぁ・・?」

そう思うと何だかテッドが懐かしくなって、
珍しく機嫌が良くなった僕だけど ルックは少し
不機嫌が増したみたいだ。



「守ってあげてね。結構大変なんだ、リーダーって」

「イヤだね。いきなり何言ってるのさ君」

「テッドへの罪滅ぼしと思ってさ、尻餅の」

ルックがテレポートで送ってくれたとき、
何でかテッドを選んで悪戯した事を思い出して顔が綻ぶ。

「・・僕の質問は無視かよ」

「あ、ごめん。」

気が付いて顔をあげたらまたキスをされた。
今度は軽く。

(・・そんなに切なそうに見られたら困る・・・)

「・・ルック、服、びしょびしょだよ。中入らなくて平気?」

「君だって濡れてる」

けだるげに肩まで伸びた長い髪を掻き上げる姿に思わず見取れてしまう。

(髪・・伸ばしてみようかな・・)

そんな事をつらつらと考えながらルックの毛先に指を絡める、
が、
身体にまとわり付く濡れた服が鬱陶しくなってきた。


「――それにしても雨、って冷たいねぇ。
僕ルックの部屋に行きたいな?
毛布と暖炉とお風呂とお風呂あがりのココアが欲しい。」

良くもまぁ我ながら我儘を言っていると思う。
でもびしょびしょなのが気持ち悪いんだから仕方がない。
第一、雨って結構重いんだ。服に染み込むと・・

「『お願いルック様部屋に行って暖めて下さい』、って言ったら連れて行ってあげても良いよ」

ルックの『あげても良いよ』良い攻撃。
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