言の葉
□ただ頭から離れないだけ
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「綱吉は誰にでも愛想がいいよね」
と 彼は言った。
「そう、ですか?」
応接室は薄暗くて息が詰まりそうで苦手だ。
目の前にいる雲雀京弥だって恐いし、今すぐ逃げ出したい衝動に駆られる。
「そうだよ。まさに君こそ典型的な草食動物だよね。弱くて、人の顔色ばかり窺って群れるしか能がない。本当イライラする。」
今だに何故俺がここに呼び出されたのかわからない。
それが余計に恐かった。
(やっぱり 初めて逢ったときのこと根に持ってるのかな…)
そう思うと言い返すなんて出来なくて
(そうじゃくてもダメツナの俺が逆らえるわけないけど)
「あ、の・・なんで俺を、ここに・・?名前だって・・・・」
名前だって、教えてないのに。
「冴えない君が僕に意見するの?」
「えっ!?いや、そうういうわけじゃなくて・・ああでもそうなのかな?
でも意見とかそんな大層なことじゃなくてちょっと気になっただけというか、
はい、言いたくなかったら別に!!」
気になって思い切って聞いてみたんだけどジロリと睨まれてそれも叶わなかった。
慌てて今までイジメられていた時の対処法でそれをごまかす。
我ながら男として情けないなとも思うけど恐いものは恐いんだ。
(だってあの山本と獄寺が勝てなかったんだもん)
俺が何か出来る訳がない。
・・・・・・・・・結局俺はダメツナなんだ。
「君のことね。面倒くさいながらも調べてあげたよ。赤ん坊に逢いたかったからね。」
ふ、と笑ってヒバリさんは教えてくれた。
本当に。蛇に睨まれた蛙というか獲物というか。
とにかくそんな空気が室内に立ち込めている。
「大変だったよ?だって君、何一つ人より勝るモノがないから。
君の友人の方が簡単に調べれたけど?・・ああ、“ダメツナ”としては優秀なんだっけ?」
「・・・・」
何も 言い返せない。
「君さ。利用されてるんじゃないの?
ほら、ダメな奴が普通の奴と一緒にいたら普通の奴が優秀に見えるじゃない?そう言う感じで、君の友人も・・・」
「・・っ山本や・・獄寺君はそんな人じゃありません!」
思わずかっとなって言い返した。
「そりゃ・・俺はダメツナで、頭悪いし体育だって俺が入ると負けちゃうし、イジメられたりとかもしたけどあの二人は・・・っ」
どうしても 言い返したかった。
初めて出来た友達だから、そんな風に言われるのが許せなかったんだ。
「あの二人は・・いつも俺を守ってくれて・・・っ」
すごく恐かった。
でもどうなるかなんて考えていられなかった。