言の葉

□ドキドキ学園メモリー
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―それは1通の恋文(と書いてラブレターと読む)から始まった‥―



《キラ.ヤマト 途轍もなく大切な話があります。放課後校舎裏に来て下さい。》


「‥‥‥‥何コレ。」

「‥恋文じゃないのか?」

同じ学校、兼隣校舎のキラの幼なじみのアスランが
少し意味有りげに言う。

「えぇ〜〜!?
だって僕アスランと違ってモテないよ!‥入れ違い?」

「それはないんじゃないか?
キラ.ヤマトって書いてあるじゃないか 実際。」

「…う、うん…そうだね。じゃあ誰かの悪戯とか…」

キラはチラリとアスランに視線をやる。

「本気だったらどうするんだ?
…相手が可哀相だと僕は思うけど。」

アスランに冷たくあしらわれて
キラは肩を落として小さく相づちを打った。

SEED学園はコーディネータークラスとナチュラルクラスに分かれていて、
先生まで分かれているという一風変わった学校。
キラとアスランは2人ともコーディネーターだ。
しかし2人ともクラスは別、アスランはコーディネータークラス(通称ザフト)で
キラはナチュラルクラス(通称A.A)なのだ。
なぜキラがA.Aに居なくてはならないのかは
ココには収めきれないので多少省略するが、要するに
手違いで違う校舎になってしまったのだ。
しかも同じ学校というのは名ばかりで
殆ど両クラスは対立しあっている。
体育祭も文化祭もetc…
昔から無条件で中が良かったアスランとキラにとっては
いい間違い、大迷惑である。
アスランに至っては理事長に抗議までしに行ったほどだ。
そんな(かなり)オーバーなアスランにキラは少々呆れ気味で
最終的にキラがA.Aに落ち着くということで一見落着に見えた。
しかし今、キラには気になる悩みごとがあった。それは…


〈アスランが冷たい!!〉


…ことである。

いや、確かに朝は一緒に出るし一緒に食べるし
帰りは一緒に帰って僕の家に寄ってご飯食べて帰る
のは前と変わらないんだ!
ただ‥ただ何か前より距離を感じるんだ!

‥やっぱり僕がA.Aを選んだせい?
だってあれは仕方ないじゃないか‥ああでも言わないと
アスランのザフトでの立場が悪くなるじゃないか!
折角生徒会長にもなれたのに‥
それとも僕のこと嫌いになっちゃったのかな‥?
‥僕がアスランから離れたから‥

キラは小さなため息を吐いた。





その日のアスランは機嫌があまり乏しくないようだった。

「‥―誰なんだ」

ぼそりと言った一言。

それを後輩ニコルは聞き逃さなかった。

「何がです?」

だがアスランの耳にはニコルの声は届いていない。

誰なんだ!
俺の(←問題発言)キラに恋文なんて
今のハイテク時代にそんなダサい物を出した奴は(激怒)!!

俺のキラが別の奴に邪な目で
見られているなんて否定すべき真実だ!
相手はどこの誰の馬の骨だ?!
っていうかどこのクラスの男だーーーー!!(男……?)
そんな事をよぎらしていた頭に聞き覚えのある声が
アスランを現実に引き戻す。

「…ラン、アスラン!!」

「…ニコル?どうしたんだそんな声張り上げて‥」

「そうさせたのはあなたじゃないですか!
あっほら!前!前見て下さい!」
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