言の葉

□Private teache
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その男の名前は籐堂尚也、
そいつは自分のことを家庭教師だと言った。

「よろしくね。たっちゃん」

年の差だって対して変わらないはずなのに
高校生の俺をちゃん付け呼ばわりする。

「‥達哉で良い。」

「何で?可愛いじゃない。“たっちゃん”ってv」

呼び名より明らかに可愛い顔をしているくせに
男な尚也は身体から甘い匂いをさせて笑う。

「尚也」

「‥‥“尚也さん”」

「その匂い何、尚也?」

「“尚也さん”。」

「‥尚也さん、」

言わないと延々と会話を続かせないと言う視線を前に
先に俺が妥協して尚也(さん)のいうとうりに名前を
呼んだ。

「よろしい。ーー匂い、って俺汗くさいのかな??
今日はバイトまだなんだけど。」

にっこりと満足そうに笑った後心外だというように
自分の身体の匂いを嗅ぐ。
何だかそんな尚也を見てると少し楽しいかもしれない。

「‥違う。甘い匂い。」

あぁ、言うと尚也は持っていた箱を出した

「ケーキのおみやげ。俺 ケーキ屋で働いてるんだ。」

「げっ。」

『ケーキ』という言葉に俺はあからさまに不信な顔をする。

「‥男のくせに。」

呟くと思い切り頬をつねられて横に伸ばされた。

「男も女も関係ナイよ。美味しい物は美味しいの!」

「‥いひゃい。」

「克哉さんはあんなにケーキ好きなのに‥たっちゃんとは
顔以外何も似てないんだね。
少し無愛想な処は似てるかな?」

始めは痛がらせようと頬をつねっていた手は
触り心地が良くなったらしくいつしか俺の頬を
つついて遊んでいる。

「似てたら俺は死ぬ。」

何が悲しくてあんな兄と似なければならないのだろう。

「良いお兄さんじゃない。」

「あんなの兄じゃない。」

本気か社交事例か、尚也の台詞に即答で答える。

「っていうか、アンタ家庭教師だろ。勉強教えないの?」

尚也はきょとんとした表情で俺を見た。

「‥勉強、わからない処あるの?」

「無い。」

「じゃあ良いじゃん。話そうよ」

ケロリと言って退ける尚也はにこにこと笑っている。

「あんたさぁ‥」

家庭教師として教えに着たはずなのに勉強を教えないと言うのは
果たして家庭教師だと言えるだろうか。


「もっと たっちゃんの事知りたいな」

尚也は笑って 言った。




*****


「情人情人!今日は一緒に帰ろうよvvV」

屈託のない笑顔でリサが教室に顔を覗かせた。

「‥今日は、予定が入ってる」

激氣!何ソレ?!もしかして女?!
やだやだ達哉は私のなんだからー!!」

「違う‥男」(多分)

「本当に??もしかして‥男は男でも淳とか‥ι」

「いや、家庭教師」

「情人頭良いのに?
可憐‥可相そう‥。途中までなら良い??」

「‥ああ。」

隈ー!多謝!ありがと〜vvV
情人と一緒に下校だ〜vV」

リサは嬉しそうに駆け寄ってくる。
たまに台詞に広東語が含まれてて分かりにくいときがあるけど嫌いじゃない。

「‥たっちゃん、俺も一緒に帰りたいなv」

リサの後ろからドアに手をかけてそこには尚也がいた。

「‥‥‥‥」

Σうぁぁぁ!!
そんな冷めた目で見ないで!通りかかったら冴子先生に中に入れられちゃったんだよ!!」

必死に弁解する尚也はバカみたいだ。

「‥勝手にしろ。」

「ありがとうたっちゃん‥。」

今にも泣きそうな傷ついた小鳥のような目で見上げて尚也は微笑む。

激氣激氣!!誰この女?!達哉のストーカー??!!」

自分との身長差と胸の無さで男だと判らない物なのだろうか。

「残念ながら男なんだ。たっちゃんの家庭教師」

「勉強教えて貰ってない」

スパーン!


ボソリと言うと軽く頭を叩かれる。

「籐堂尚也です。君はたっちゃんの彼女かな?可愛いね。」

家庭教師にタラシの一面を見る

「かっ‥カノジョ‥」

「違った?たっちゃんが心開いてるように見えたから」

「やだやだ!カノジョだなんて!!///
多謝!すごく嬉しいv私はリサ・シルバーマン!」

「帰国子女?
‥僕が高校生だった時帰国子女が一人居たよ。
エリーもよく言葉の中に英語が入ってた」

「隈ー!そうなんだ!」

「‥‥ふぅん。」
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