言の葉

□Private teach−Naoya Version−
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『良かったら僕の弟の家庭教師をしてみないかい?』

言ったのはバイト先の客で赤い髪にメガネのモミアゲ刑事さん。
暫く顔も見せない恋人への嫌がらせと
割の良い給料に惹かれてOKした。

束縛の強い上杉はバイトをすること事態反対で
今のバイトも来る子は殆ど女の子だという理由と
おみやげとして甘い物好きな上杉にケーキを持ってかえるという
メリットで決めたケーキ屋のバイトだった。

「‥‥‥家庭教師?」

勉強を教えられることになった彼は『セブンス一イケてる男』と
異名を取るだけあってクールな美少年だった。

(いゃぁ‥まるで昔の自分を見ているかの如く格好良いなぁ‥)

「よろしくね。たっちゃん」

密かに恍惚状態になりながら手を差し伸べた。

「‥達哉で良い。」

思春期だからか、妙に背伸びして俺に可愛いことを言ってくる。

この年頃なら確かにからかわれて居るみたいで嫌なのかもしれない。

俺も上杉に『なおりんv』って呼ばれると恥ずかしかったし、
やっぱり何処かくすぐったくて照れくさかった。
でも、そういう風に呼ばれることに慣れていないなら
慣れさせてあげた方が良いと思ったんだ。

「たっちゃんは何でケーキ嫌いなのかな?」

おみやげ代わりに持ってきたケーキに
嫌な顔をされたので一応問いかけた。

「お兄さんだってあんなに上手いのに」

「‥‥作りすぎ。」

克哉さんの顔&ケーキを想像してか、
たっちゃんはあからさまに眉間に皺を寄せる。

(ぶっ‥たっちゃん無意識なのか)

生意気な生徒の可愛い処を発見して口元が緩む。

「ていうか、あんた家庭教師だろ。勉強教えなくて良いのか。」

「‥勉強、分からないところあるの?」

「無い。」

誰もが言葉を選ぶ台詞にたっちゃんは即答する。

‥実は前もって克哉さんから成績を見せて貰ってたりする。

成績は中の下。

見た目から頭が良さそうでいつも冷静に見てるイメージがあるけど、
どうやら克哉さんとは違って見た目だけで
『冷静でクール』なんじゃなくてただぼーーっとしているだけらしい。

どうやって入手したのかは不明だけど
たっちゃんの授業ノートを見せて貰ったら真っ白で
落書きとかが書いてあったりした。
でもまぁ勉強なんて本人がやる気にならないと意味ないし

「じゃあ良いじゃん。話そうよ。」

「あんたさぁ‥」



それに




「もっと たっちゃんの事知りたいな。」




笑って言った。




正直、バカにされると思っていたけど たっちゃんは嬉しそうに俺を見つめていた。






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