言の葉

□風邪
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頭が痛い


身体が重い


気持ち悪い 吐き気



身体の熱で意識がはっきりしない。


苦痛。


ヒヤンリ、と額に冷たさが走る。

「――?」

「‥目、覚めた?ルック」

目の前には心配そうに見つめるマクドールの姿があった。
「‥何、で‥?」

「昨日の戦いで、毒に当たったので熱が出たみたい。
ティオ 毒消し使わなかったから」

ティオ、というのは今の軍のリーダー。
先刻の戦いで毒消しがもったいないと言って宿に着くまで毒にうなされたのだ。

「‥ざけんなょ‥あいつ‥」

頭は朦朧として喉はガラガラで声を出すのも精一杯
こんな事にされたのも全て現リーダーのせいだ。

(マクドールの時はこんな事無かった‥)

連れて行かれたことがないと言えばそれでおしまいだが。
それでも マクドールが解放軍を率いていた時は
回復ミスで仲間を苦しめるなんて事はなかった。
‥一人だけ、毒に当たった例外は居たが‥その一人を
除いては誰も死ななかったのが不思議なくらいだ。

「ねぇ、‥んであんたが此処にぃんの‥!?」

ケホケホと咳混じりに声を荒げる。
「‥ルックが、手、離してくれなかったから‥」

右手を見ると 自分の手は無意識に
マクドールの服の裾をしっかりと掴んでいた。

「‥‥‥悪かったね。
病人の付き添いなんかさせて‥」

熱があっても喉が痛くても嫌味と云うのは出るモノらしい。
「ティオは 絶対一緒に行きたい、って
言ってたけど 今日は仲間集めの日らしいから‥」

ティオが泣いてマクドールに抱きついている姿が目に浮かぶ。
マクドールは強いし、頼りになる。
その割に、ビクトールやナナミみたいな扱いにくさは無いのだから
ティオがマクドールを頼りにしてもおかしな事はない。

何より、ティオはマクドールが大好きだ。
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