言の葉

□バナーの道
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「‥坊ちゃんに何のご用でしょう?ルックさん」

「‥‥‥」

小さなドアを開けると顔を青ざめて怒りを
あらわにしたグレミオの姿があった

(今日もか‥)

マクドールをいつも連れ出そうとするとこれだ。
マクドールもご丁寧に夕方、もしくは一段楽すると
あのバナーの道を歩いて帰るからこっちは
毎回連れ出すのに苦労が絶えない。
案の定あからさまに敵意を燃やすこいつを僕が嫌わないはずもなく‥

「ティオがマクドールに力を貸して欲しいんだってさ。」

「そんな危ない事グレミオが許すわけ‥」

「お願いします!マクドールさんの力が必要なんです!!」

必死に頼むほどマクドールを敬愛しているのはティオ。
輝く盾の紋章を持つ今の僕の仲間で元解放軍リーダー、
ティオ・マクドールと同じ名前を持つ少年。

「‥ダメですか‥?」

うるうると今にも泣き出しそうな目で見つめられて
マクドール命のグレミオも深く息を吐く。

「――わかりました。
‥でも、くれぐれも気を付けて下さいねっ!?」

「はーーい!!vvV」

「‥‥‥‥」

事の本人のマクドールはポヤ〜とその光景を眺めている。

昔のマクドールは今のティオみたいに感情表現豊かだったが
いつからか表情も言葉も殆ど無くなった。

「‥ねぇ、元気?」

目があった時に思わず声を聞きたくて話しかけた。

そりゃ〜〜もう、
元気×2の健康体に決まってるじゃないですか!
昨日だってグレミオのシチューをた〜〜っぷり食べたんですから!!」

「あんたに聞いてないよ」

部屋の中じゃいつもこう
グレミオがマクドールの代わりに発言してくる。

(大体毎日シチューじゃないか?)

マクドールもグレミオも飽きないのだろうか‥
などと考えているとマクドールが気を使ってか
フォーローか珍しく口を挟む。

「グレミオは母さんみたいなものだから‥」

「‥‥‥ふぅん。」

マクドールの事を‥性的対象として見ている僕としては
やはりその言葉は不愉快だった。

まるでその関係は何があっても壊せない特別な‥
自分には入っていけないと思う関係だ。

‥ようするに妬いている。

「何せ、懲りもせずまた一緒にいられるような奇跡起こした仲だもんね‥」

「そーーですとも!
坊ちゃんとグレミオの間には何人たりとも入り込めぬ
深〜〜い愛があるんです!!」

「‥うん」

歯が浮くような台詞にマクドールは照れて、嬉しそうにはにかんだ。


(――ムカつく)


マクドールが誰が死ぬのが嫌なのは知ってる。

だからこそ傍に居て貰えるのが一番嬉しいことも。


(僕の方が‥そいつより長生きするのに‥)


久しぶりの本当に嬉しそうな笑顔。


いつもはそれが見れれば良いと思うのに
それをさせたのが他の男だと言うことが腹立たしい。

「行くよ。マクドール!」

急速に手を引き寄せる。

「ルック?」

マクドールはオタオタと引きづられてくる

「さっさとこんな面倒な戦終わらせたいんだよ!」

とにかく この男が居ない処に行きたかった。

「‥ルックって、マクドールさんの事嫌いなの??」

突然 ティオがばかばかしい言葉を発した。

「‥は!?」

「だってさ、マクドールさんのこと名字だし、
此処に来る度不機嫌になるし、何より嫌がってるマクドールさんを
無理矢理引っ張って行こうとしてるじゃないですか!!」

「――名字なのはお前と同じだからだよ。
不機嫌になのはこの男と此処までの道がそうさせるんだ!
引っ張って行くのは当然だろ!?今はルルノイエ出動前なんだから!!」

ついでに不機嫌の半% はティオのボケさ加減だ。
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