言の葉

□雨の日
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しと

しと

しと



湿った風と共に水が落ちてくる。

「雨・・」

僕、リン・マクドールはさして感情を表すわけではなくぼう、っと外を見つめるだけだった。

「雨だね」

「ルック、・・居たの?」

「居たよ。相変わらず失礼だね、君」

ひくり、と口の端を不愉快そうにつり上げて微笑まれる。

「そう?ごめんね。」

そんなルックを横見してた僕は後々うるさくネチネチと言われると解っていたけど適当な相槌を返した。

「・・ルックと一緒にいてもなぁ・・」

ポソ、と口から漏れた言葉をルックは逃さなかったみたいで。

「何か言った?」

「何も」

言った台詞まで聞いてないなら言わないに越したことない・・
そう思って頭をフルフルと横に振っていたら頭をロッドで思い切り叩き付けられた。

「僕と一緒が何だって?」

「・・・・地獄耳・・・・」

殴られた頭をさすりながら口を尖らせて抗議する。
自分でも聞こえない吐息のような言葉だったんだけど

「んん?」

ニッコリと微笑んだルックはさらにロッドで殴った処をグリグリとねじ込んでくる。

「ルック、痛いよ」

「謝ったら許してあげても良いよ」

「ごめんね。」

「反省の色がない」


(謝ったのに・・)

思わずまた口にしそうになったけど返す気力もなくて口を噤んだ。






間が時を繋げる。






別に何もない雨の音だけの世界というのもなかなか良い。
僕だけの空間、って感じで・・(ルックも居るけど)



ぼう、っとまた雨を眺めていると不機嫌なルックが口を開いた。



「・・悪かったね。親友でも家族でもなくて」

「まったくだよ」

親友ってのはテッドの事かな?親は父さんとグレミオ?
何で3人のことを、と問いつめようとしたけど止めた。
(ルックは一緒に戦った仲間なんだから知っててもおかしくないか・・)

「・・そんな顔するほどあいつらが・・テッドが好きなわけ?」

「うん」

どんな顔かは解らないけど。テッドは好きだよ。生涯でただ一人の親友って思うし。

「・・・ムカツク」

「え?ん・・っ」

また頭を殴られたかと思ったら今度はそのまま腕を引き寄せられて 
ルックの顔をドアップで見てしまった。

「ぁ・・ふっ」

唇を奪われてしまっていたらしい。
自分の声でも妙に甘ったるい鼻につく声がくすぐったい。
斜めに向けられて奪れた唇は深く、すぐに酸欠状態になってしまう。

「ル・ック・・?」

そんなこともお構い無しにルックはくちゅくちゅと舌で口内を蹂躙している。

「――っは」

名残惜しそうな唇から身を離せた僕は一気に紋章を使ったときのような疲労に肩で息をする。
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