言の葉

□右手をつないで
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「良いよ。手を貸してあげても」

言うと同盟軍を引いて僕を仲間に誘った少年はぱ、っと顔を明るくさせた。

「でも一つだけ・・」





――僕、君のこと嫌いだから――







聞いた少年の顔が少し強ばっていた・・。














「マクドールさーーーん!!!おっはよう、ございまーーすっ!!!!」

大きな声で叫んで少年はこちらに走ってくる。

「・・・・・」

僕は目を合わせるでもなくそのまま広間の方へ進む。

「・・やぁ、おはよう。マクドール」

「おうリン!こっち来い!ここのメシはうまいぞ〜」

挨拶するのも面倒そうなルックとそれとは対象的に
構ってやりたいオーラを出しまくりのビクトールが僕に呼びかける

「おはよう・・ルック・・。ビクトールも、相変わらずだね。」

返事を返して二人の隣に腰掛けようとしたら軍主様、ティオが不満そうに呻く。

「あーっあーっ!
酷い〜マクドールさんってば僕のこと無視した癖にルック達とは楽しげに〜っ」

「なんだ、お前またティオを無視したのか?」

「マクドールが無視・・?」

「・・・・」

呆れたように、不思議そうにビクトールとルックは目を
見開いているけどその台詞に僕は返事を返す気はない。

「リン様が人をあまりよく思われないのは珍しいですね」

僕の分の食事を持ってきてくれたカスミが心配そうに言う。

「リン様、ティオ様は悪い方じゃないですよ?」

「・・・嫌いな物は嫌いだから仕方ない」

トレーを受け取って一言だけ呟く。

「珍しい。
追われてるときに兵に堂々とケンカふっかけるお前が
無視するなんて雨が降るぞっ」

ガハハ、と品のない笑いをしたビクトールは
子供にするみたいに僕の頭を掻き毟っている。

「痛いよ」

「ははは、そーかそーか!!」

悪いと言いながらもビクトールは手をどけてくれない。

(・・重い・・・)

「挨拶が面倒というのもあるみたいなんですけど」

「ははは、面倒かっ!」

「マクドールさんってばおじいちゃんみたいですね〜」

すっかりグレミオな気配りが板に付いてきたカスミを後目に
ティオは僕の隣にイスを挟んでちゃっかり座っている。

「・・・・・」

目の前の食事にも手を付けずに立ち上がるとガタン、とイスが揺れた。

「あれ?食べないんですか?マクドールさん」

「・・・・僕、言ったよね?」

「はひ?」

もひゅもひゅと奇怪な音を立ててティオは口に食物を詰めている。

「君が嫌いなんだ」

「ひひまひたほ〜」

口に物を入れたまま品なく相づちを返す。
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