言の葉

□誕生日を君と
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「誕生日おめでとう」

有り得ぬ人から発せられた台詞は意外な程に胸が熱くなった。

「え、あの、ヒバリさんっ…その、えと、」

何で。その一言に随分時間がかかってしまうくらい緊張した。
ヒバリさんはそんな俺を笑いながら

「赤ん坊が祝ってやれって」

と告げる。

「皆に忘れられてたんだって?」

「…………」

(リボーンの奴…)

何もそこまで言わなくても良いのに。
それにしても祝わせる相手がヒバリさんだなんて盛り上げ役は昨夜のリボーンの誕生パーティーで一緒に忘れていたから他に居なかったんだなと双方共に申し訳なく思った。

「ご、獄寺君は覚えてたから皆ってわけじゃぁ…」

ビアンキで倒れて一言も祝って貰ってないんだけど。
恨みがましく告げると「何か言った?」と睨まれたので慌て否定した。


「左手を出してごらん」


要求されて拒否するまでもなく素直に左手をヒバリさんの前に差し出す。
咬み殺されるのは遠慮したいけど気になったので質問してみることにした。

「左手がどうかしましたか?」

この程度の疑問は誰でも浮かぶから怒られることはないだろう。
けれどヒバリさんの返事はなくて手を引かれたと思ったら思いっきり薬指に噛みつかれた。


「ぃったぁ!!」

あまりの痛さに涙を浮かべ訴えるけどヒバリさんは離してくれない。

「ヒバリさん、痛い!痛いです!ごめんなさいっ謝るから許して!!!」

一体何を許すというのか。
ただ必死にギリギリと痛む指先をヒバリさんの口から逃がすことだけを考えた。

程なくして立てられた歯は収められ

「痛かった?」

と彼は笑ながら癒すように薬指に舌を這わせた。

「ぁ…っ…!」

ぬるりとした感触が指を辿ればビリリと痛みが走る。
それさえも彼が与えてくれるものは甘美に思えた。


「誕生日プレゼント、だから」


大事にしてね、と今度は指に口付けて。
ヒバリさんの微笑みは優しくて、柔らかな表情で、その笑顔こそがプレゼントだと見惚けた。

「左手を咬むのがプレゼントなんですか?」

と呟けばヒバリさんは口元を隠して苦笑を漏らす。

(訳わかんない…)

ちらりと。自分の左手の有様を見てようやく意味を悟った。

(これって……)

「予約しとくよ」


左手の薬指についた咬み痕はまるでエンゲージリングのようだった。

「ど、どうも……」

嬉しくて 恥ずかしくて。
顔を赤らめて俯く俺を見てまた、ヒバリさんが笑った。


..end



ツナ誕おめでと!!!笑
祝うの遅くてすみません;というか祝う気全くなかったんですがね!
色んなヒバツナサイトを黙読するうち書きたくなってしまいました。
甘々ヒバツナ良いです…。

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