It's my life
□003
2ページ/4ページ
「留学…するの」
「……」
「ずっと迷ってて…でもチャンスだと思ったから、この前大学に返事した」
「『行きます』って?」
「…うん」
まともに顔が見られなかった。怒るかもしれないし、嫌われてしまうかもしれない。怖くて、もう何も言えなかった。ちゃんと覚悟したのに。
…沈黙を破ったのは貴方だった。
「行ってこいよ」
「え?」
「いろんなもの見て、学んでくるチャンスじゃん。チャンスは、逃したらそれっきりだし」
恐る恐る、顔を見た。
…貴方は微笑んでいた。
私は、この人をおいて日本から出ていってしまう。
こんなに優しい人を。
…この人を、自分に縛りつけていていいの?
「…別れよう?」
思わず口走った。
「…俺、待ってるよ?」
どうして、また優しいことを言うのだろう。顔を背けて一息に告げる。
「私に縛りつけたくないの。幸せになってほしいの。忘れていいから…っ!」
続きは言えなかった。貴方に強く抱きしめられたから。
「…忘れないよ」