戦国

□日は沈み、また昇る
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ただ、貴方に会いたい。


それだけなのです。


貴方に心惹かれた時、貴方には私ではない別の方が隣にいました。
最初はこの想いが半信半疑でその事について気に留めていなかった。
気になりだしたのは、貴方が私と同じ気持ちでいると知ったあの日から。
私の中で貴方は一番の存在。
でも貴方の中で私は一番の存在ではなかった。


一番になりたい。


貴方にわからないよう、心の奥底で強く願った。





時が経つにつれ貴方への想いは次第に強まっていく。
会うたびに愛を語り、手を絡ませ、確かめあった。
それは何とも甘美な時間。
手を伸ばせば直ぐに貴方がいる、という幸せ。
この頃は本当に幸せで、永遠に続くものだと思い、信じていた。





いつからか、二人の関係にズレが生じる。
それは些細なことだったのだが、直す方法を知らない私にとってそれはとても大きなことだった。
小さな亀裂は瞬く間に広がる。
どこから手を付けていいのかわからないくらい、頭の中は混乱する。


そして貴方は私の目の前から姿を消した。


最初はそれが信じられなくて、自分で理由を付けては気持ちを落ち着かせた。
大丈夫、だと言い聞かせた。
不安になる心を振り払っていた。
だが不安は予想以上に膨らみ、心を蝕んでいった。





貴方が現われなくなっても日は沈み、また昇る。
平然を装いながら、大きく開いた穴を隠すのに必死になる毎日が続いた。
そんな日々に疲れないはずはない。
そう、わかっていた。
貴方は二度と私の前には現われないことを。
二度と笑いかけてくれないことを。
それを認めたくなかった。
待ち続けていれば、必ず会える。
そう、信じたかった。
貴方を信じたかった。
貴方は私の大切な人で、私は貴方の大切な人。
それを支えにしたかった。





疲れた心は信じるという事を忘れた。
会えると思えなくなり、会えるわけないと思い始める。
待ちたくても、もう貴方を待つ事が出来ない私がいる。
だから辞めようと決めた私がここにいる。





一番になれないのは最初から知っていた。
いずれこうなるのもわかっていた。
ただせめて最後だけは、けじめを付けたかった。
顔を合わせ言ってほしかった。
こんな形で終わりたくはなかった。
さようなら、と、ありがとう。
言いたかった。





ただ、会いたい。
それだけなのです。
最初から最後まで、会いたいと、今でも会いたいと願わずにはいられない。
どんな結末になろうと構わない。
覚悟は遠の昔に出来ている。
だから私の為に、二人の為に会ってほしい。
これから旅立つのに貴方が必要なんです。





貴方を愛して良かった。





そう思えるように、なりたいのです。
































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