乙女

□名前
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「譲くん。」


後ろから俺を呼ぶ声が聞こえた。
誰なのかは直ぐにわかる。
どうかしましたか?と振り向けば貴方は俺に笑いながら用件を口にする。






小さい頃から恋い焦がれていた相手。
近いようで、遠い存在。
貴方の隣には兄さんがいたから。
追い付きたくて、でも追い付けない。
手を伸ばせば触れることが出来るのに、触れてはいけない、触れられないでいる。






今、貴方の傍には兄さんの姿はいない。
だから俺が貴方を守ります。
たとえ貴方の必要としている人が俺じゃなくても、俺は貴方の傍にいます。
だから、だから今だけは呼んでくれませんか?
兄さんの名前ではなく‥‥‥俺の名前を。
貴方が俺を呼ぶたびに俺は貴方を守りましょう。
貴方を傷つけるあらゆるものから盾となりましょう。
貴方の願いは俺に出来ることなら‥‥‥いえ、俺が全て叶えます。






だから今だけ願わずにはいられない。
今だけは‥‥‥俺の名前を呼んでください、先輩。












名前




















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