はくしゅ

□さくらんぼ
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貴方との
ファーストキスは
甘酸っぱい
果実の味


朝から
竜崎がむしゃむしゃやっているのは
透明なボウルに
山盛りに積まれた
さくらんぼ


つるつるして
可愛い紅い実たちは
次々と
竜崎に飲み込まれていく。


時たま
べっと舌を出しては
綺麗に結ばれた茎を弄ぶ。


キス、上手いのかな。


自分で考えてから
馬鹿らしいのと、
恥ずかしいので
一人赤面する。


「・・・美味しそうですね。」


ふいに
ぐいっと腕を引かれた。

竜崎の前髪が
顔に触れたと気づいたときには
もう手遅れだった。


ぱくり。


「なっ、何す・・・!」


ペロリと舌なめずりをした竜崎は
悪戯っぽい笑みを浮かべる。


「ああ、スミマセン。

 貴女の唇が美味しそうだったもので・・・。

 さくらんぼより、甘かったですよ。

 ご馳走様でした。」


この
確信犯め。

今日の
薄紅色のグロスが
貴女の気をひくためだなんて
世界の名探偵には
お見通し。



 
 
 

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