舞い散る桜
□いつまでも、なんて
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今日は卒業式
国歌が体育館に響く
僕は二年だから、絶対に卒業式に参加しなければいけなかった
それに番長をやってるからか、送辞を頼まれてステージにあがらなければいけない
時間が過ぎるごとに僕は比例させるかのように顔を俯かせた
『送辞、在校生代表、御手洗団吾』
「ッ……はい!」
地面に貼られているテープに沿って歩く
これは今日に向けての練習の成果だ
今日はリーゼントも疵痕も許されなかったから、素顔の僕だ
それが怖かった
リーゼントと疵痕は僕が変わるアイテムだ
あれが無いと僕はただの弱虫オタクで…
善罪さんとの出会いがなかったから
今日の卒業式の中には、庵洞さんと我藤さんと
素顔の僕まで愛してくれた愛しい人
善罪さんがいる
保護者や先生、来賓の人に軽く頭を下げてからステージに上がった僕はまた国旗と校旗に頭を下げてみんなの顔を見れる場所に立った
「卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます」
あぁ、話してたばっかなのに泣きそうだ
僕の見つめる先は善罪さん
「だんだんと暖かな風が吹いてくるようになりました」
ねぇ、善罪さん
僕と善罪さんと出逢ったのは、春の終わり頃だったでしょうか
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