綻ぶ桜
□リセット
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「…兄貴?」
濡れた髪をかきあげて顔をあげると見慣れたオレンジ頭が見えた
「火讐か…」
じゃあな。と手を挙げると、その手を掴まれた
「…離せ」
「嫌です」
「何でじゃ」
「…何ででしょうか…」
「訳わからん。オイは行くぞ」
「行かせません」
…何なんだこの人は…
「…ウザいぞ」
「ウザがられてもいいです。…だから…泣かないでください」
「…ぇ?」
雨で分かるわけ無い
「…目元、紅くなってますよ」
「え!ゃ…」
慌てて目元を拭った、その時
「んぷっ!」
体が温もりに包まれた
「ちょっ!火讐//濡れるッ!」
「…誰に泣かされたんですか?」
横目で転がっていく傘を見てると、火讐の腕が震えてるのが分かった
「火讐…?」
「誰に…」
「…言えない」
「言ってください」
「……気まぐれな人…今日の天気みたいに…」
「…俺の知ってる人ですか?」
「……」
知ってるよ?
君の尊敬してる人だよ…
「…涙が、また…」
「…ヒック…っ…見るな…」
溢れてきた涙を上を見上げて雨で隠した
「見ます…拭います。隠さないでください」
「やだ…ヒック…ヒグッ…」
言ったら君は、幻滅しちゃうよ?
……でも、言ったら楽になるかなぁ…
「…誰が泣かしたんですか?」
「……りゅ《ブーブーッ》
言おうとした時、携帯が光って着信を知らせた
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