綻ぶ桜
□橋の上で会いましょう
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「あ、雨が止んだ」
朝からずっと降っていた雨がやっと止んだ
「日頃の行いが良いからッスよ!!」
火讐はニッと笑って団吾に駆け寄った
(日頃の行いは寧ろ悪い気がするけどなぁ…)
心の中で些かに毒舌を吐きながら、団吾は空を見上げた
「虹…は、ないか」
寂しそうに呟く団吾に、火讐は首を傾げた
「虹ですか?」
「うん、七色の虹…」
「あ、作りますか」
「え?」
ニカッと笑って火讐は、団吾を外に引っ張った
「ちょっ、何するんだっιι」
「いいから、来てくださいよ」
火讐はホースを校舎脇から伸ばしてきた
「…何に使うんだ?」
疑問符を頭に浮かべる団吾に火讐は太陽を探しながら言った
「前に妹にしてあげたんスよ」
水をホースから霧状にして放射する
「ホラ、兄貴!虹ッスよ」
指さされた方に向き直る、と
「あ…虹…」
「これしてやると、妹が泣き止むンスよ」
「へぇ〜」
小さな虹がホースの放射する水の中に浮かぶ
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