綻ぶ桜

□ギャップと逆境
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本日の気温

35度


「あ゛っー…」
「茶越、暑いっていぅな!余計暑く感じる!」
「紋武も叫ぶんじゃねぇ…」


派遣組は茹だっているメンバーで一杯だった


その時、校内放送が入る


声の主はいつかの会長


『皆さん、今日の気温は例年より高いらしいですね。そのため、今より校内、又、部室に冷房をかけることになりました。温度調節をしっかりして体をしっかり涼めてくださいね』


プチッという放送の切れた音がして、数秒後…

部室の冷暖房機が動き始めた


「ぉおぉぉ!やったぁ!」
「これで涼しくなるな」
「あぁ……所で、兄貴は何処だ?」


そういえば、と不良達も頭を捻る


「ねぇ」


部室に新参者が現れる


「あ、お前も何処行ってたんだよ。善罪」
「アイスを買いにコンビニにね」

善罪はアイスの袋を持ち上げて、言葉を続けた


「ねぇ、赤髪って言ったら?」
「マジカルバナナ?」
「まぁ、そんな感じ」
「ワピースのシャンクだろ」
「身近にいる人では?」


そんなもの、とみんな声を揃える


「俺達の兄貴に決まってるだろ!」
「……じゃあ、この子は番長君なのかな」

困ったように眉を片方だけ上げて(と言っても片眉しか見えないが)、善罪は背中にいた子供を前に押し出した


「ぁ…ぁ…ぇっと…」
「嬢ちゃんじゃねぇか、善罪」
「あ、女の子だったの」
「大体、御手洗がこんなガキになるワケないだろ?」
「ぁの…紋武…」
「あ?ってかなんで俺の名前…」


小学生くらいの子は、紋武の学ランの裾をギュッと握って、涙目で訴えた


「僕、御手洗団吾…です」





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