二つ目

□病的希求日記
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携帯の向こうから聞こえる声に息を呑む。
それと同時に今までの不安や恐怖が消えていく。
「こんな夜中にすいません。起こしてしまいましね。」
『ううん。大丈夫。あのね…』
「はい?」
『あのね…俺も獄寺君と話がしたかったんだ。』
「十代目…俺もです。」
『獄寺君は窓の近くに行ける?』
「は、はいっ?!」
ガラリ、窓の開ける音がして、獄寺も窓に近寄り窓を開けた。
その音がしてツナが話を始めた。
『月、綺麗だね。』
「そうスね。でも、さっきまで、何か嫌でした。」
『何で?』
「嫌な夢見ちまって、月が出ている所が自分みたいで。“感情なんかなくなれ”って願ってました。」
『そうだね。嫌になって、そう願ってしまう事あるよね。でもさ…そうしたら…それじゃ駄目だって思うんだ。そんなのその時だけでしかないから。』
ツナはどこまでも優しく強い声だった。

ああ…この人は“悲観”にも真っ直ぐに向き合っているんだ。
一つの陰りなんてなく。

『だからね…』
続く言葉に耳を傾ける。
『“好きな人に会いたい”って思っ…うわああっΣ』
「十代目?///あの…それは…」ツナの言葉を期待してしまいそうになるが、慌てるツナにますます期待が膨らむ。
「俺は…貴方が好きです。もう、ずっと前から。」
告白をする時、もっと自分は慌てるか、巧く伝える事が出来ないと思っていた。
突然の告白にツナは言葉を見付けられない様で、獄寺は、いつでも良いと告げようとした。
今返事を待つのだって、こんなに落ち着いていられないと思っていた。
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