二つ目

□病的希求日記
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「い、悪くない…獄寺君…。」

獄寺君!!

ツナは夜中に目を覚ました。
布団はちゃんとかけていたのに全身が冷たい。
見慣れた天井が歪んで見える。
ゴシゴシと目を擦る。
「俺…泣いてるの?…何でだろ?何でこんなに…」

胸が苦しいんだろ…。

ギュッとパジャマを握り締めた。
「変な夢のせいかな…。」
ゴロン…寝返りをうって体を楽にする。
窓の外の夜が目に写る。
「あの場所より…怖くない。明るい場所だったのに…あんな怖いなんて。」
怖がりだと知っている。
だけど明るい場所が怖いなんて思った事は一度もない。

大切な人が必死で自分を呼んでいた。
差し出された手を掴みたかった。
でも、その人があまりにも悲しそうで、苦しそうで…それが自分にも伝わってくるから痛みで動けなかった。
明るいから、ハッキリと見えてしまう顔。
思い出すだけでまた嫌な痛み。
溜め息を吐いて顔を上げる。
「あ…そうか…今、この空は…」
目の前より上にある明かり。
そこには月が、空いた隙間を埋める様に輝いた。
「…会いたいな…。」

ヴゥーン!ヴゥーーン!!

携帯が鳴る。

「!!」

急いで、鞄から携帯を取り出した。
「もし、もし?」
『……すいません……十代目。』
「…獄寺君…」
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