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□CAROLS
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「雲、雀さん…?」
朝方、ツナを包んでいたた温もりがなくなって、冬場の冷えきった空気に目が醒めた。
「…まだ、寝てて良いよ。」
「はい…雲雀さんは?」
「冬休みだし、もっと一緒にいたいけど、仕事があるから行かないと…。」
「そうですか…。」
「冬休みだから…浮足立った奴らがいるからね。」
「楽しみなんですよ…皆…。」
「まぁね…ねぇ、綱吉…君は…。」
「何ですか?」
「いや…じゃあ、行くね。」
「はい。気を付けてくださいね!!」
「うん。ありがと。」

チュッと、瞼にキスをして窓から出て行く。
窓から見送り、バイクの音と姿が見えなくなると、ゴロンとベットに潜り込む。
「…雲雀さんは忙しくて…それでも、俺と会ってくれて…。」

“自分と仕事とどっちが大切なんですか?!”

ドラマで可愛い女優が携帯越しに涙ながらによく言う台詞。
実際に言う人もいるらしいが、ハッキリ言って、比べられるものではないだろう。
ツナは雲雀が大切だから、風紀の仕事をしている彼が好きだから、そんな事は言えないし言いたくない。

例え、今日が“クリスマス”でも。

「分かってる…分かってるよ…雲雀さんが忙しいのは…群れるの嫌いだし…特にキリスト教を信仰してる訳でもないんだけど…でも、やっぱり…“クリスマス”は…」

…二人でいたい…。

そう、思ったツナは、あれから飛び起きて、冬休みだと言うのに、学校に来た。

昨日は友人達と過ごした事を話したのをただ頷いて聞いてくれた。
何度も、貴方とも一緒に…言いかけて止めた。
言えば良かったと思った。
付き合い出して分かった事。

雲雀はツナに甘い事。心配症な事。
ツナを大事にして思ってくれる事。

その全てが嬉しくて大好きだった。
初めて出会った時は…あんなに怖かったのに。
何度も無器用なりに励まされて…。
意を決して、応接室を叩く。

返事はない。

「もう…いないか…。」
応接室のドアに寄りかかり、ズルズルとしゃがみ込んで、校舎の窓から空を見上げる。
「…雪降りそう…一緒に見たいな…雲雀さん…。」

ジワリ…

人気のない校舎は外同じ位寒いのに、目元が熱くなり、グニャリと空が歪んだ。
「こんな事で泣いてちゃ駄目だ!!」
ツナは、袖でゴシゴシと涙を拭いた。

「沢田さん?」
「あっ!草壁さん!!」
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