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□prism
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「骸!!」
「おや。綱吉君。」
白と薄紅の蓮が咲く水辺以外は真っ白な世界。
「…お前な…人に散々、電波受信させといて、急にばったり電波切断させんな!!」
ツナは骸が“水牢”に閉じ込められてから、毎晩、骸に呼ばれて(半ば、無理矢理)ここに来ていた。
が、ある日を境にぱたりと姿を見せなくなったのだ。
「…それは、すいません。…心配しましたか?」
分かっていた。
ツナが骸を呼ぶ声がちゃんと届いていたから。
「心配はしてない。」
「クフフ…そうですか?本当にそうなんですか?実は少しは寂しかったんじゃないですか?」
「…ウザイ!」
ズイズイと顔を寄せてくる。
後ろに顔を退き気味にさせながら、手で顔を押し返す。

ペロ…

顔を押しているツナの手を指の間をべろりと舐めた
「ひぃいいいっー!!Σ何するんだ変態!!」
すかさず、顔から手を放して骸と距離を取ろうとツナが動いたが…。
「駄目です!!」
「えっ…?」
骸が腕を掴んで放さなかった。
「…腕を放してしまったら…また…僕は…僕達は…」
美しい赤と青の眼が訴える様に縋る様にツナを見つめる。
「嫌だ…骸…放して…放して…放せ!!放してよ!!」
掴まれた手をそのまま上に振り上げて手を振り切ろうとした。
が、骸もそれを許さずに力を込める。
「嫌です!!」
「何言ってんだよお前?!大体…お前…俺を見てないだろ?…誰を見てるの…。」
「綱吉…君…。」
スルリと腕が放れる。
「ごめん…俺…もう、ここには来ないから…骸…俺…最初はお前に呼ばれてここにくるの凄い怖くて嫌だった。でも、今じゃ嫌じゃなかったよ。」
敵として出会って、仲間が傷付けられて、許せなかった。
それでも、骸達の過去の話を聞いて。たわいのない話をするうちに、いつの間にか恐怖や嫌悪がなくなっていた。
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