最初

□HIGH PRESSURE
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七月になり、制服の移行期間も終了して、すっかり夏服になった。
太陽や気温は夏のようだが、まだ“梅雨明け”はしてないし、午後からは高確率で雨の予報だった。
「何かさー、こんな天気良いのに折り畳みだけど、傘持ってるのって変だよねー。」
「ツナ、傘持ってきたんだ。」
「うん。だって、かなり確率高いって言うし。長い傘だと忘れそうだもん。山本は持ってないの?」
「俺は置き傘なのな。」
「…誰か間違えて持って行っちゃってたりして。」
「…有り得るかもιじゃあ、そん時はツナの傘に頼るから♪」
「良いよ。でも、山本なら女の子が傘入れてくれるんじゃない?」
「ツナが良いのな。」
「変なの〜。」
山本の方を見て肩をすくめて楽しそうに笑う。
「おっと。」
肩からずり落ちそうになったカバンを直すと、ワイシャツからチラリと鎖骨が見えた。
「(うわあっv///)ツナ…ワイシャツでかくない?」
「でかくないよ!!それに、普通は一年振りに着たら少し小さくなった?ってなるでしょ?!」
「ツナが縮んだとか?」
「んなΣい、一応、背ぇ伸びたんだよ!!」
ツナは山本に近付くと手を自分の頭から山本の頭へと行き来させる。
「ん〜…それ、あんま意味なくねぇ?後、俺、また背ぇ伸びたから。」
「えーΣ」
「ツナもそのうち伸びるのな〜。だから安心しとけ。」
ポンポン。と頭を撫でた。
「山本っーー!その手を放せ!!」
後ろから獄寺が走って来た。
「獄寺君。おはよう。」
「おはようございます。十代目大丈夫ですか?野球馬鹿に何もされてませんか?」
「もー…何だよそれι」
「な〜…酷いよな?」
「黙れ。お前は油断も隙もないんだよ。」
「喧嘩は駄目だよ?早く行こ?」
ツナが二人の手を引っ張った。
「…ツナ…」
「…十代目…」
このまま、ギュッ。と手を握り返したくなる。
が、二人を友達と思っている為にその思いを裏切れないでいた。
もし、フラれたりしたら立ち直れない。
それに、気まずくなり、“友達”でいられなくなるのも嫌だった。
思いばかりが募り、上昇気流に流されて低気圧な気持は空よりも今にも雨が降りそうだった。
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