最初

□小さな物語
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「……………!!」

外から車が止まる音がした。

今は夜中、それも真夜中とされる時間。
本来なら、そんな時間に客人など有り得ないが、今夜だけは違った。
「来たなああっ…。」
壁に寄りかかっていた長い銀髪の男は、廊下の先を見た。
「スクアーロ!!」
長い月明かりだけが照らす廊下を走って来たのは、白いスーツを着た小柄な青年。
「うわあっΣ」
必死で走って、スクアーロを見付け、足元から注意が外れ、転びそうになった。
「ツナヨシΣ」
間一髪…手を伸ばしたスクアーロに助けられた。
「あ、ありがとスクアーロι…ザンザスは…ザンザスは大丈夫?!」
「安心しろおっ!あのボスが簡単に死んだりするわけねぇだろ?!」
「そうだよね…うん!ザンザスは強いもんね。」
それが、取り柄だろおっ?!スクアーロはニッと意地の悪い笑みを浮かべるとツナはグッ!と大きな瞳から溢れ落ちそうだった涙を堪えた。

今までボンゴレ・十代目ボスであるツナが狙われていると情報があった。
そうじゃない。と気付いたのは同盟組織が、情報を提供してくれてだ。
その中に、ヴァリアーとザンザスと一悶着あった“ヒットマン”がいるというのがあったのだ。
「そいつはヤベェぞ。」
凄腕のヒットマンでもある元・家庭教師を舌打ちさせる相手…。
ツナは全身の血が退くのを感じた。
目眩でふら付く体を押さえて、その場にいた守護者や部下達にヴァリアーにその事を伝える様に指示をする。
そして、
「もし…そのヒットマンを見付けても、俺達は手を出さない事。」

『…Si』

「よく言ったぞ。」
部下が出て行った部屋でもまだ気丈に立っているツナにリボーンが一言伝えた。

一人部屋で連絡を待っていると、ツナの指示通り、部下達はヒットマンを見付けても手を出さなかった。
が、一歩出遅れてしまい、ザンザスは襲撃を受けた。

「それで、ザンザスはどうなったの!!」
『命に別状はありません。ですが、出血が酷かった様です。』
「そう…ありがとう…。」
『それでですね…あの十代目…』
「なあっΣザンザスの馬鹿っ!!」

ザンザスは治療班の病院を受けて自分達の屋敷に戻ったのだ。

ツナは急いで屋敷から出た。


「ザンザスは?」
「…酒飲んで寝るそうだあ。」
「怪我してるのにっ!!」
スクアーロが止めようとしてくれたのが分かる。
「まぁ、後は頼んだ。」
「うん。」
「…?」
扉を開けようとしないツナ。
「お前の方が大丈夫かあっ?」
ツナはうつ向いて震えていた。
「おい。」
「Σ///」
前髪を上げられ、額に暖かな感触。
「お前が、そんな顔してんなぁ!!」
「痛っΣ」
額を指で弾かれた。
「うん…そだね、起きたらーザンザスに反省文書かせなきゃ駄目だもんね。」
ツナは笑ってドアをノックした。
スクアーロはそれと同時にそのばを離れた。


あいつが…ボスの為に“ボス”として“恋人”として泣いて笑うなら…俺の為に…“友人”として笑顔でいてくれ。


*end*

額なら友情
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