最初

□小さな物語
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キューン…ギュッッン…!

「…うっ…ι」
ラボ内に響く、小さなドリルなどの道具の音がツナには段々と歯医者の医療器具の音に聞こえて来て、歯が痺れる様な嫌に疼いて来て、手で耳を塞いだ。

それを思い出したのは、色々あって十年後にやって来たが、その前にも色々あった。
その時に、小さな虫歯があって治した事があったからなのだ。
「小さいうちに治した方が良いぞ。今日はさっさと帰って来て、歯医者に行け。」
「うっー…歯医者って嫌いなんだよな…ι」
「ふん…“注射”も嫌いなんだろ?」
「うっΣ」
「要するに、“病院”が嫌いって事なんだろ駄目ツナ。」
「そ、そーだよ!別に良いだろ?」
「まぁな。病院が嫌いなんだ、無駄に怪我や病気しない様にねっちょり鍛えてやるゾ。」
「それも嫌だっっΣ!!」
とにかく、今日はちゃんと行けよ。と愛銃を向けられて、ツナはコクコク!と頷いて、嫌々と歯医者に行ったのだ。

「…どうした?」
「え?」
ポンと肩を叩かれて、耳を塞ぎながら、蹲っていた顔を上げる。
背を向けて作業をしていた筈のスパナが目の前にいた。
「何で泣いてる?」
「別に、泣いてなん…あっ…本当だ…。」
手を耳から外して、頬に伝う感触を確かめる。
「どっか、痛かったか?」
「痛い?」
「さっき、ウチと…モスカと戦った時にどっか打った?」
「ううん…大丈夫です!!…俺は大丈夫です…」
ツナは涙をゴシゴシと拭い、自分にも言い聞かせる様にスパナに伝える。
「スパナさん…あの…後、どれ位かかりますか?」
「どうしたの急に?」
「早く、行かなきゃ…早くみんなの元に行かなきゃ…。みんなで、帰るために…。だから…我が儘言ってるの分かるけど…「分かった。ウチ、頑張るから。ボンゴレももう少し待っててよ。」
スパナはまたゴーグルをかけて作業に向かう。
「あ。」
クルリと振り返り戻って来た。
「はい。」
「?!Σ」
差し出せたのはスパナのスパナ型の飴。
「あ…いや…さっき…」
「まだ食べてないの?」
「食べました。」
「うん。だから、もう一個あげる。」
「ありがとう、ございます。」

グイッ!

「うわあっΣ」

チュッ☆

「えええっΣ///」
飴を受け取ろうと伸ばした手を引き寄せられ、唇が指先に触れた。
「じゃあ、もう少しおとなしくしてて。」
「はわわぁ〜ι///」
訳が分からない、慌てるツナに何事も無い様に行くスパナ。

なぁ、あんたは何で泣いてたの?
ウチには分からないけど…悲しくてとか、怖くてとかで泣いてたんじゃないよね。
仲間を思って、強い光を持ったあんたを凄いと思う。
あんな小さな手で体で…。
そう、思ったら…少し触れたくなった。


*end*

手なら尊敬
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